環境報告書2013
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大阪府立大学 環境報告書|29 西田哲司(生命環境科学部附属 農場(教育研究フィールド)主査兼グリーンアドバイザー) 西田さんの基本的な活動は、野菜や果物の栽培・販売と、その植物を利用した学生の実習をサポートすることです。また基本方針として、作物を作るだけではなく、フィールド内に生息・生育している動物や野草なども資源ととらえ、それらを活かした栽培を続けています。 減農薬に向けて 活動の一つとして、平成17年度より、作物の栽培に使用する農薬の量を減らす「減農薬」に取り組んでいます。そのきっかけは、同年に農学部が生命環境科学部へと名称を変えたことで、単に作物を栽培し収穫するだけではなく、環境に配慮した活動を志すようになったからです。 ゼロエミッションへの取り組み ゼロエミッションとは、廃棄物をゼロにしようという考え方ですが、府大でもそのための取り組みが行われており、その一環としてフィールドでは木材チップを用いた堆肥づくりが行われています。 まず、府大内で伐採された樹木を堺築港の工場まで運びます。そこで樹木はチップに加工され、再び府大へと戻ってきます。府大に戻ってきたチップは、糠類等の有機物と混ぜ合わされ、半年ほど発酵させると、堆肥として利用可能になるのです。ただし、これはシステムとして確立されているわけではなく、経営企画課施設室が仲介役となり、およそ半年ほどの周期でボランティアで行われています。 地域との繋がり 「自然を見てもらう」ということが、 堺という都市の中にある府大の役割で あり、地域の住民に対するサービスと なります。 地域と連携して行っている代表的な取り組みとして、酒造りがあり、「なにわの育(はぐくみ)」が製造・販売されています。なぜ酒造りかというと、府大には酒造りの技術はありませんが、発酵の技術単体では存在していたからです。現在は、古代米(府大からも一部材料の提供は行っています)を河内長野市の酒造製造所に送り、そこでお酒を造っています。 今後の課題 現在抱えている問題の一つは、取り組んでいる活動を広く知っていただく機能が欠けていることです。ここでは、大学の研究を補助したり、宇宙かぼちゃを栽培し、その種子を小学校に配るなど、さまざまな取り組みを行っています。しかし現状では、行った活動をホームページに掲載するくらいしか情報を発信する手段がない状態にあります。この状況を改善するために、今後は大学祭のイベントに参加して、活動を報告しようという計画も上がっていますが、人手不足などの理由から、まだ計画段階に留まっています。 知ってみよう、教育研究フィールド コラム~なにわの育~ 本学が長年保存維持してきた古代米の中から選別した酒好適米「アサムラサキ」を使い、河内長野の天野酒醸造元である西條合資会社の協力を得て完成した清酒です。人類が古代から「育んできた」貴重な遺伝資源を歴史ある地「なにわ」の大阪府立大学で「育んできた」技術によって、地域社会に貢献するという思いを込めて命名されました。(芝野徹) 担当:芝野徹 (経済学部経済学科)

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