環境報告書2013
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14|創エネルギーの取り組み 我が国では年間約4億7千万トンの廃棄物が発生しており、その70数%が有機性の廃棄物です。21世紀科学研究機構資源循環工学研究所では、この有機性廃棄物を資源として捉え、有効利用することで循環型社会を構築することを目指しています。これについて、工学研究科の徳本勇人先生にお話を伺いました。 メタン発酵とは? 有機物から加水分解細菌、酸生成細菌によって作られた有機酸・アルコールなどから、メタン生成細菌がエネルギーを作って生存・増殖する際にメタンを主成分とするバイオガスを放出します。別名メタン呼吸ともいうこの過程のことをメタン発酵と呼びます。メタン発酵の最大のメリットは、廃棄物からエネルギーを創ることができるなどの環境負荷が少ないことです。しかし、メタン発酵細菌によるバイオガスを生産する速度が遅く、巨大な装置を用いる必要があるなどの課題があります。 バイオガス製造プロセス 資源循環工学研究所のメタン発酵プラントでは、学 外の生活協同組合、学内の生協、NPO法人と連携し、おからや食堂から一日あたり2.3 kg発生する生ごみなどを原料として、メタン発酵を行っています。 図1にバイオガス製造工程を示します。メタン発酵で放出されたバイオガスは脱硫という操作(硫化水素を除去)を行った後、活性炭が詰められたバイオガス吸着装置に貯蔵されます。このバイオガスを用いて発電を行い、プラント内で使用する電力の一部に利用することができます。またこの段階では60%がメタンガス、40%が二酸化炭素を含んでいるため、さらに別の吸着装置を用いて95%のメタンガスに精製し、学内でバイク、車の燃料に利用しています。「吸着」など プラントの製造過程の効率化などを学ぶ化学工学を活かして、学外の事業所でも導入できるような、需要にあった様々な規模での効率良いバイオガス製造プロセスの実現を目指しています。 第2章 創エネルギーの取り組み 近年、大学では教育研究活動に伴う環境負荷を低減する取り組みが求められています。平成22年度における太陽光発電および風力発電を導入している我が国の大学は全体の約半数を占めており、前年度よりも大幅に増加しています。本章では、再生可能エネルギーによる「創るエネルギー」の取り組みを示します。 図1 バイオガス製造工程 徳本勇人講師(大学院工学研究科) 生ごみからエネルギー

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