平成24年度版 環境報告書
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585 大阪府立大学では、白鷺祭におけるオープンラボをはじめ、各学科・研究室が工夫を凝らし、地域の人々に開かれた教育プログラムを行っています。 今回は、その中で「科学の泉」というイベントを行っている大学院理学系研究科の久保田佳基准教授にお話を伺います。 学生:「科学の泉」とはどのようなイベントですか?本学の物理科学科3年生前期のプログラムに、『演示学生実験』というものがあります。演示実験とは、例えば、物理学の原理や現象をわかりやすく伝えるために工夫して作られた実験装置、および実演まで含めた実験のことです。この授業では、学生に自由に題材を選んでもらい、自分たちで演示実験を企画・提案し、実験装置を製作、それを使って実演をしてもらいます。この過程でできあがった実験を大学近くの市民に公開するイベントが「なかもず科学の泉」です。 学生:地域の子どもたちを対象にした理由を教えてください。子どもは本来、理科が、特に実験が好きなのです。そんな子どもたちに「理科って面白いんだよ」ということを伝えたくて、このイベントや、他にも出前授業を行ったりしています。私には、かつて親に星を見るため山へ連れて行ってもらったり、科学館へ連れて行ってもらったりした経験があります。だからこそ、自然科学に興味を持つことができ、今につながっていると思っています。実験などを通して科学に触れる機会を増やすことで、より多くの子どもたちに科学に興味を持ってもらいたいと考えています。 学生:「なかもず科学の泉」を地域の人びとと行うことは、学生にどのようの教育効果があるとお考えですか?学生たちは、『演示学生実験』における企画から実演までの一連の作業を通して、発想力・計画力・実行力・問題解決能力・応用力に加え、プレゼンテーション能力やコミュニケーション能力、チームプレーにおける協調性など、様々な能力を育てることができると考えています。 さらに、できあがった実験を子どもから大人までのあらゆる年齢層を対象に説明することで、相手の立場・理解度を考えて説明する能力を身につけることができます。将来的には、そのようにして成長した学生たちと研究をし、自然科学のすばらしさについて分かち合えたらいいなと思っています。 学生:最後にひとことお願いします。理科や実験が大好きだった小学生の子どもたちが、中学高校に進むにつれて式を扱うだけの授業になってきて嫌になり、理科から離れてしまうことがあります。それを防ぐためにも、中高生を対象にした出前実験を行ったり、現場の先生方にもっと実験を知ってもらい、各校のカリキュラムに加えてもらったりできたら良いなと思っています。 結局、理科が好きな人が少しでも増えてくれたら嬉しい、ということですね!Column 2012年5月20日と21日には、理学研究科・宇宙物理学研究室と天文学部が「日食グラスを作ろう」「金環日食展望会」というイベントを開催しました。20日には学内外から親子連れを含む1000名が、21日には600名が参加し、大阪では実に282年ぶりとなる世紀の天文ショーを楽しみました。電波望遠鏡や太陽望遠鏡による太陽像の観察も人気を集めました。このように本学では、「科学の泉」の他にも、科学の楽しさ・面白さを地域の方々と共有する機会を多く設けています。

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