平成24年度版 環境報告書
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424 水系の生物をモニタリングすると、水質のモニタリングの結果と合わせて、府大池の水質をどのようにコントロールすれば一番いいのか考えることができます。環境と生物多様性の関係をきちんと調べられるようにしたいと思います。 調査をすることでどんな府大にしたい、どんなことが知りたいですか。こんな小さい府大池でも、pHやDO(溶存酸素)などの数値が、どのくらい変化があるのかっていうのを知りたいですね。学生に、自分が普段いるキャンパスの環境に少しでも興味をもってほしい。「意外と、おもしろい自然がいっぱいあるよ」って。いろんな意味で、研究や興味の材料になるものが、キャンパスにごろごろあるので、それに目を向けてもらいたいです。その後、育ったプランクトンや水草は底に沈んでヘドロになり、微生物などによって分解されます。微生物に分解されたものは、水中に再び溶出したり、窒素ガスになって空気中へ出たりします。 また府大池では、赤い浮草がよく観察されますが、あれはアゾラという水生シダです。どこから入ってきたかはわからないのですが、府大池のアゾラは外来種の疑いが強く、生物多様性の観点から問題があります。また、浮草なので太陽の光を遮ってしまい、他の水草が光合成できず、生態系が変わってしまいます。実験でわかったのですが、アゾラは条件がそろえば葉面積で1日に3%も増殖するんですよ。ところが、調査のデータをよく見ると、植物プランクトンの大量発生をおさえる役割もはたしていて、府大池の環境にとっては一概に悪いともいえない、複雑な状況です。 今後どのような調査が必要だと思われますか?まず、もっと多くの項目のモニタリングがしたいです。水質のモニタリングだけでは不十分で、水や陸の生物の多様性がきちんと評価できるモニタリングが必要だと思います。 具体的には、里環境の会が行っている「ルートセンサス」(ある一定のところを回りながら見られた生き物を記録する調査方法)など、ある程度継続できるモニタリングや、逆に、ある特定の1つの種、いわゆるキーストーン種の生物量の詳細なモニタリングなどが必要だと思います。それに目を向けてもらいたいです。

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