平成24年度版 環境報告書
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414444444 府大池の水質調査を行っている工学研究科の中谷直樹准教授と、共同調査をしている工学部学生の渡辺志郎さん(里環境の会OPU所属)にお話を伺いました。調査をはじめたきっかけは何ですか?キャンパス・ビオトープを考える上では、府大池が中心になるという認識があって、ビオトープとして整備したいという要望がありました。整備するためには、府大池の現状を学術的に調査することが重要であるために、海で水質の調査や環境シミュレーションなどをしている私に声がかかりました。それ以来ずっと調査を続けています。 キャンパス整備後も引き続き調査をしているのはなぜですか?環境を考えるうえで一番大事なことは、「モニタリング」だと思います。環境がどういう状態か、適切に把握しなければ、何か手を加えた時の環境影響も知ることができないし、それがどういう状態なのか判断も評価もできない。 継続的なモニタリング、つまり継続的な環境の把握は、環境を考えるうえで絶対必要で、一度始めたら続ける必要があると思います。 学生と一緒に調査している理由は?キャンパス・ビオトープを考えるうえで、重要なのは多様性です。ビオトープは多様な生物が共生する空間ですが、人間側、つまり大学の多様性を考慮することも大切ではないでしょうか。研究者である私たち教員もいるけれど、職員さんや学生もいる。特に、大学ということを考えると、学生に知ってもらい、一緒に関わってもらう方がいいでしょう。また、継続的なモニタリングには人手も必要です。もっと幅広く同じ趣旨に賛同してくれる仲間を集めて、一緒に続けられたらいいですね。最後に、学生側から何か情報を発信できる仕組みを作りたいです。大学は学生を育てる場所ですから、学生が自主的に調査に参加して何か刺激を受け、自らその経験や知識を発信できるようになれば、教員としてこれほど嬉しいことはありません。渡辺さんは実際に中谷先生の調査に関わっていらっしゃいますが、きっかけは何だったのですか?1回生のときに他の先生の紹介もあり、中谷先生から「水質の調査をやってみないか」とお誘いをいただき、中谷先生の手伝いをさせていただきました。 その後2回生の学科の合宿の時に、「また水質調査をしないか」というお話をいただきました。ちょうど里環境の会にも入った時期で、自分1人ではなく、部員みんなでできそうだということで、参加することになりました。府大池の現状について、教えてください。簡単に言うと、府大池は「水質浄化池」になっています。上流から窒素やリンなどの栄養塩類が多量に含まれた水が流れ込んでます。 それは家庭排水が起源となっていますが、その栄養塩類を府大池の中の植物プランクトンとか水草が取り込み、水を浄化してくれます。

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