平成24年度版 環境報告書
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373333333―キャンパスをビオトープ化するにあたって、その発起人としてご尽力された石井実先生にお話を伺います。大阪府立大学に勤務されて、以来20年間キャンパスの自然を見守っていらっしゃった石井先生の思いを語っていただきました。もともと百舌鳥キャンパスのあたりは水田地帯でした。ですから、中百舌鳥キャンパスは里山の景観要素を残しながら発展してきたキャンパスなのです。私はそういう雰囲気の自然あふれるキャンパスが続いていってほしいと思っています。 学生:先生は大阪府立大学に20年間も勤務されていらっしゃいますし、やはり思い入れも強いのですね。 失われていくキャンパスの自然をどうにかしなければ、という思いでした。私の研究対象は生物ですから、キャンパス自体が調査地でもあり、重要な存在なのです。 現在学長の奥野先生も海洋システム工学科の教授でしたから、府大池の水環境をどうにかしたいという思いをお持ちでした。今から6年前、奥野先生と私が副学長だった時に、キャンパスの自然をどうにかしたいという考えで一致しました。当時の府大池はどぶのようで、臭く、ゴミが捨てられるような場所でした。  学生:今では考えられません。 当時は、学生団体の環境部エコロ助も力を持って意見を言うようになってきていましたし、キャンパス内の自然への関心が高まってきていました。そこで、キャンパスをビオトープとして、教育や研究にも生かそうということになり、その意見交換の場として、2007年8月8日に第一回目のビオトープ研究会を開きました。 学生:世間では小さな池を作ったりと箱庭的なイメージの強いビオトープですが、本学ではキャンパス全体をビオトープと位置付けていらっしゃるとお聞きしました。旧西ドイツで生まれたビオトープという用語は、生き物の住みかという意味で、府大ではそのとおりの本物のビオトープを造りたいと考えています。生態系や生物多様性のことを考慮に入れながら、研究の一環としてビオトープを造っていきたいのです。今は府大池を中心にビオトープの整備を行っていますが、次のステップでは陸域にも目を向けたいのです。そして最終ステップは地域の自然の拠点となりたいと考えています。府大を地域のコアビオトープと位置付け、近隣の緑地帯と自然環境のネットワークを形成したいのです。 学生:このあたりには、古墳や白鷺公園がありますね。 鳥など移動力の大きい生物は自由に行き来するので、生息場所のネットワークを作ることは一つの地域貢献になるのではとも考えています。 学生:中百舌鳥キャンパスをビオトープにすることで、白鷺公園や古墳と生物の生息地をつなぐことができるんですね。

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