平成24年度版 環境報告書
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364Column本学の中百舌鳥キャンパスは、47ヘクタールの敷地面積をもち、構内には水田や果樹園などのほか、多様な樹木が植栽された緑地帯や調整池、水路などがあり、200種以上の樹木、約40種以上のチョウ、約20種のトンボなどが生息しています。本学では、この生物相の豊かな中百舌鳥キャンパス全体をビオトープと位置づけ、多様な生物がにぎわい、自然と人間活動の調和を実感できる空間の創造をめざしています。とくに「府大池」は、絶滅危惧種のメダカやナニワトンボをはじめ、カワセミやサギ類、カモ類などの野鳥が見られ、この「キャンパス・ビオトープ」の中心的な存在です。この池では、アゾラなどの侵略的な外来生物の駆除や水質改善の取組みなども行われ、健全な生態系ビオトープ(Biotope)とは、ドイツで生まれた概念と言葉で、“生物群集の生息空間”を意味しています。語源はギリシア語の“命”を表すbioと“場所”を表すtoposで、二つを合わせて作られた合成語です。ドイツ連邦自然保護局では、ビオトープを有機的に結びついた生物群、すなわち生物社会(一定の組合せの種によって構成される生物群集)の生息空間と位置づけています。よく似た言葉に「生態系」がありますが、これはある環境状況を設定して、そのなかに生息する生物群集によって構成されている機能を示すものです。ビオトープは、多様な生物による生態系の機能をもった、まとまった空間そのものを意味します。の修復・維持がなされています。もともと中百舌鳥キャンパスは、昭和33年の写真を見ると顕著であるように、周囲に点在するため池や水田、中百舌鳥古墳群などともに「ビオトープ・ネットワーク」を構成していました。現在でも残る生物多様性の増進は、かつてこの地域が持っていた遺産を生かし、自然の豊かさを地域にもたらすことにもなります。ていますの

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