平成24年度版 環境報告書
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35333333 その後も水質とその変化(中谷直樹)、昆虫と陸上動物(八木孝司)、鳥類(鳥居美宏)、魚類ほか(平井規央)、自然観察路(湯井順子)、管理について(施設課、施設室)など幅広い立場から多様な話題提供があり、活発な意見交換が行われてきました。 第2回(2008年)と第6回(2010年)は、府大池の水を抜く工事の前にそれぞれ開催され、外来種の除去や在来種の救出についての具体的な方法が話し合われました。2008年は特定外来生物のオオフサモが府大池の一部に繁茂しはじめたことから、重機でそれを取り除く工事が行われました。 その間水位が低下した府大池から在来の魚類や昆虫類を研究会が中心となって救出し、アメリカザリガニやカムルチーなどの外来種を駆除しました。この活動によって、希少種のマツカサガイやモクズガニなど驚くべき生物も発見されました。 2010年は府大池周辺の改修工事で再び水位が低下しましたが、この時もプールを利用して大がかりな在来種の救出が行われ、外来種の駆除もあわせて行われました。これら2回の救出活動を経て、一部工事後に未確認となっている昆虫の希少種がいるものの、小型在来魚の個体数増加が確認されるなどの成果がありました。 最近の研究会では、特に夏季に府大池の水面を覆うアゾラ属の一種の浮草問題や府大に生息するメダカの遺伝的多様性、陸上における外来植物の侵入状況などが注目されています。    府大がエコキャンパスに向けた取り組みに大きく貢献されたのが、このビオトープ研究会です。そのとりまとめを務めていらっしゃる平井規央先生にキャンパスビオトープをご紹介いただきました。 大阪府立大学キャンパス・ビオトープ研究会(以下、研究会)は、2007年8月、古墳群の中にある大阪府立大学のキャンパスを、地域のビオトープ・ネットワークの拠点と捉え、今後のキャンパス計画を、自然と人間活動(教育・研究活動)との共生という視点から考えるために設立された、教職員・学生からなる学内の研究会です。 コンセプトとしては、キャンパスの中にビオトープと呼ばれるゾーンを造るのではなく、キャンパスそのものをビオトープと位置づけるもので、地域貢献と古墳群との関わりを通して、地域との連携を深めることを目的としています。 このキャンパス・ビオトープをより豊かなものにするため、周辺地域も含めた生物相や水環境のモニタリングを行い、問題点を話し合うことが重要ですが、その意見交換を行う場として研究会の会合がこれまでに7回(年に1~2回)持たれてきました(表参照)。 第1回は、ビオトープ研究会発足にあたって(奥野武俊・石井実)、キャンパスの生態系など(石井実・平井規央)、府大キャンパスの樹木と鳥類(前中久行)、ビオトープの計画に必要なこと(増田昇)、府大池の水質について(中谷直樹)などの話題提供がありました。

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