平成24年度版 環境報告書
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0999990909090900 本学には、2010年度に開講した副専攻「環境学」をはじめ、環境に関して広く専門知識を学べる学部・大学院教育プログラムが備わっています。また、環境問題や復興支援など、社会的課題を取り組む活発な学生活動も多く存在しています。しかしながら両者の連携はこれまで、部分的および短期的なものが多く、そのため、長期的かつ総合的な視野を必要とする環境マネジメントにおいて、問題を解決する上でさまざまな不具合を生じてきました。私たち学生は、学内における環境活動のネットワーク形成こそが大きな課題だと強く実感してきました。 大学は「教育・研究機関」であると同時に、地域におけるエネルギー消費量が多く排出するなど、環境負荷の大きい「事業者」です。大学の利用者の9割を学生が占めるという事実を踏まえれば、学生が当事者としての意識を持ち、環境マネジメントに積極的に関わることで、より大きな成果が期待できると思われます。 学生は未来社会における中心世代として、今後の社会を「今から」作る責任があります。学生を含む若者による活動は「周りを巻き込む力」など強い行動力を持ちますが、多くが4年間で卒業することもあって、継続的に一貫した活動を行うことが難しい、年度により関わる学生の数が変動する、などの課題も抱えています。専門知識や組織マネジメントの経験も不足しています。一方、教職員は専門的知識やマネジメントに関するスキル、実務に関する経験と知識を持っています。学生と教職員が連携すれば、“エコキャンパス”への実現に近づけるのではないか。そして、それは大阪府立大学の魅力の1つにもなりうるのではないか。私たちはそのように考え、2010年秋、「学生が大学の環境対策に積極的に関わることのできる場を持ちたい」と、全学をフィールドとして環境対策の研究を進めている21世紀科学研究機構エコ・サイエンス研究所に私たち学生側から最初に提案を持ちかけました。 その後、エコ・サイエンス研究所とおよそ半年にわたって話し合いながら、私たちが重要だと考えたのは、以下の2つのことでした。 2011年3月11日に発生した東日本大震災と福島の原発事故は、私たちに「環境」を学ぶことの意味を改めて考える重要な機会となりました。震災後、本学の学生は、募金活動や被災地へのボランティア活動など、積極的に支援活動を行ってきました。その活動を通じて私たちは、地域社会の中で、日常生活の中で防災知識や環境に関する知識を正しく理解することの重要性を知り、大学が大きな役割を果たしうることを知りました。また、福島第一原発事故以降、エネルギー政策が見直される中で、少なからぬエネルギーを消費する大学においても、改めてエネルギーに関する一連の施策の再検討が必要だと考えています。私たちは大学における「環境」を「人間社会と自然」と定義し、人間社会が持続的に発展していくためにどのような社会の仕組みが考えられるのか、まずは自分たちの足元の大学を対象に考え、主体的に行動するための第一歩を踏み出したいという思いを強く持ちました。 環境NGOエコ・リーグ(全国青年環境連盟)は、全国の大学のCO2排出状況や、実施している地球温暖化対策、環境教育支援などを調査し、評価する「エコ大学ランキング」を毎年行っています。私たちは、この評価基準や実際評価された各大学の取り組み内容を参考に、本学が「エコ大学」であるために、どのような課題と向き合う必要があるのかを探ることにしました。 その結果、①総合的・統一的な環境対策が推進されていないこと、②大学の運営に関わる環境目標が設定されていないこと、③環境報告書を作成していないため、上記の状況の把握ができないこと、という3つの大きな課題が浮かび上がりました。特に③の重要性は

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