IRIS活動報告集9_2019年度
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3サイエンス・キャンパスの舞台裏IRISが実施している科学実験教室「サイエンス・キャンパス」について、IRISが本番に向けてどのようなことに悩み、企画をどう組み立て、準備しているのかをご紹介します。高石市「天気のひみつ~雲を作ろう他~」から河相 優子さん、和泉市「お菓子の色の正体は?」から柳 美早紀さんにお話を伺いました。(インタビュー:森田 喜恵、吉田 春香)テーマ決め身近な科学にまつわる実験をしたいと考え、案を絞りました。お菓子はみんな良く知っていて、これから先も触れ続ける最適な題材でした。さらに家での再現が簡単だったこと、色がキレイで楽しく学べること、本企画の幅広い対象年齢に対応した難易度だったことから、この実験を推薦しました。また保護者の方も参加される企画だったので、親子で添加物について考える機会になればという狙いもありました。当初、行う実験は①「雲を作ろう!」のみの予定でした。しかし、この実験は短時間で結果が出ることから、いくつか実験を追加することになりました。実験を考える際に雲をテーマとし、ドーナツ雲、彩雲、CDの分光器の実験など様々な案が出ましたが、具体的にどの実験をするのか、方向性の決定は難航しました。構成決め最初は、本番の前半で行った、「色を抽出して毛糸を染め、着色料の種類について知る」部分だけを行う予定でした。これにはチョコレートを使用したのですが、メンバーの間で他のお菓子でも実験したいという意見が出ました。同じ操作の繰り返しでは退屈ではないかと考え悩んでいましたが、クイズにして未知の着色料を当ててもらうという案が出ました。前半で身につけた知識を活用することもでき、より理解が深められると、二部構成にすることを決めました。3つの実験を行うにあたり、IRISが一人1つの実験を担当することになりました。3つの実験が独立しているため、実験方法や天気を理解するプロセスを考慮して実験の順番を決定しました。もう1点重要なポイントは、材料調達です。実験を3種類行うため、材料予算がオーバーしてしまったのです。そのため、どの実験の、どの材料を削るかの検討には苦労しました。実験の仕組み説明は、どこまで詳しく説明するかで苦労しました。小1から小6と参加年齢が幅広かったことから、化学式など難しすぎる説明は省きました。代わりに着色料が何からできているのかについて、子ども達が知っているものを例に挙げ説明しました。また「着色料」以外の点は簡単にとどめるなど、伝えたいポイントをしっかり意識して説明を考えました。資料作りIRISがそれぞれ受け持つ実験の資料を作りました。工夫が必要となった点は、導入部分、実験のつなぎです。3つ実験を行うことをあらかじめ伝えておくほうがいいだろうと、最初に導入部分を作りました。また、実験がそれぞれ独立しているため、各実験をどのようにつなげるかということも考慮しました。その上で、普段小学生向けの資料を作る機会がないことから、ちゃんと小学生が理解できる資料になっているかの確認が必要であり、最終リハーサル後に何度も修正しました。実験リハーサル1回目のリハーサルでは、テーマ決めで出た実験案を実施しました。①「雲を作ろう!」の実験は成功しましたが、それ以外の実験は全て失敗。ドーナツ雲に至っては、ドライアイス使用不可という実施団体の申し出から、実験自体が却下となりました。そのような状況の中、IRISで再度実験案を練り直すことになりました。テーマを「天気」に広げて考えた結果、挙がった実験案が②「竜巻パワーがとまらない!!」、③「食塩水で虹を作ろう」です。2回目のリハーサルで実験した際には全て成功し、3つの実験を行うことが確定しました。リハーサルでは、一度で実験結果を得ることができました。しかし、子どもたちが簡単にかつ飽きずに実験できる流れを作り上げるために、リハーサルを重ねました(結果的に10時間以上になりました)。短時間の条件や、湯せんしなくても成功することを確かめ、実験にかかる時間と手間を省きました。また、子供たちの目からみても結果がわかるように、色が変化しやすいお菓子に絞りました。実験をシンプルにできたからこそ、伝えたいポイントをより明確に伝えられたと思います。高石市「天気のひみつ~雲を作ろう他~」和泉市「お菓子の色の正体は?」 実験内容・・・「天気のひみつ」を知るために、3つの実験を行いました。①「雲を作ろう!」はペットボトルの中に雲を作る実験、②「竜巻パワーがとまらない!!」は発泡入浴剤を使用し、竜巻を起こす実験、③「食塩水で虹を作ろう」は食塩水の濃度の差を利用して虹色の層を作る実験です。 実験内容・・・身近なお菓子を通して着色料について学ぶ実験です。前半ではお菓子から着色料を取り出して毛糸を染め、天然着色料や合成着色料の違いを学びました。後半では、前半で学んだ知識を使って、未知の着色料の種類を当てるクイズを行いました。実験操作をシンプルにしたものの、使う材料や手順において未だ複雑な箇所があり、参加者が混乱してしまう場面がありましたが、IRISがうまくフォローすることができました。リハーサルを何度も重ね、自分たちがしっかり実験を把握出来ていたこともあり、想定していたタイムテーブル通りに進行することができました。子どもたちがわくわくしながら実験に取り組んでくれている様子が印象的でした。本番サイエンス・キャンパス本番、全ての実験が成功し、時間もスケジュール内に収めることができました。子どもたちも想像以上に喜んでくれました。当日を迎えるまでに、実験案の選定や材料の決定など、様々な苦労がありましたが、その努力がきっと本番の成功につながったのだと思います。

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