大阪府立大学 ロールモデル集III
30/32

女性研究者支援事業のこれからに向けて 早いもので、3年間の支援事業も最終年度を迎えました。この取り組みが契機となって、学内の空気はかなり変化してきました。理事長をはじめとした全学的取り組みとして、女性の研究活動を応援する姿勢を明示したことは、とても意義があったと思います。 しかし文部科学省科学振興調整費による女性研究者支援事業は、本学の応募年を最後に打ち切られ、これに続く「女性研究者育成システム改革加速プログラム」も終了しました。現在、後続の支援事業は規模を縮小して実施されていますが、国家的取り組みとしては、何とも中途半端なことになってしまったのは、残念なことです。 本学は公立大学としての初の採択であり、公立大学モデルとしての特色を強く打ち出した点が評価され、採択に至ったと理解しています。その特色とは地域との連携による裾野拡大事業で、女性研究者支援センターが献身的に撒いてきた裾野拡大の種が大きく成長する時期がやがて到来することでしょうが、教育的努力の成果を確かめるには3年間はあまりに短いのです。大阪府立大学は理系がメインで、構成が著しく男性に偏った大学であり、この環境をジェンダー平等なものへと変えていくには、中長期的取り組みが必要です。採択期間終了後の大学独自の事業継続に期待しています。私がセンター長を務めている女性学研究センターも、その一翼を担っていく所存です。 最後に意欲的な活動に取り組んでおられるIRISの皆さん、様々な制約の中ですばらしい働きを見せておられる女性研究者支援センターの教職員のみなさんに、心からの感謝と慰労の意をお伝えしたいと思います。大阪府立大学人間社会学研究科 教授/地域連携研究機構 女性学研究センター長女性研究者支援センター 運営委員会副委員長伊田 久美子Profile京都大学大学院文学研究科修士課程単位取得退学。文学修士。橘女子大学、武庫川女子大学非常勤講師、京都大学助手ののち、大阪女子大学人文社会学部教授。大学統合により、2005年より大阪府立大学人間社会学研究科教授。専門は家事労働論、ジェンダー論、女性学。共著『ジェンダーで学ぶ社会学』(世界思想社、1997年)、訳書 G.F.ダラ・コスタ『愛の労働』(インパクト出版会、1991年)他。30

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です