元気!活き生き 大坂府立大学ロールモデル集
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両親は共働きだったので、祖父母と過ごす時間が長く、そのせいか、おっとりマイペースな子どもでした。わりと小さなころから、ずっと続けられる仕事につきたい、という想いがあって、当時は、公務員か先生がいいかなと子どもなりに考えていました。また、本が好きだったので、あれこれ何でも読みました。マンガも好きでよく読みました。その中に出てきた一場面がきっかけで源氏物語を読んだり、ということも。今でも読むことは好きで、チラシまで熱心に読むよね、といわれています。高校2年で文理選択の進路調査があり、科目の得手不得手も好き嫌いもとくになかったので、かなり迷いました。結局、より教えてもらいたいほう、という理由で理系を選択しました。勉強することは苦痛ではなく、新しい知識が増える嬉しさがありました。 大学は数学をベースに、なにか役に立てるようになりたいと思って関連学科を受験し、工学部経営工学科に入学しました。大学では、自分の学科の専門科目以外に機械工学科の制御工学や農学部の測量学など、興味のある科目は他の学部、学科のものでも受講していました。先生に、「君どこの学科?」と珍しがられたりしましたが、専門外の勉強も楽しかったです。大学祭実行委員会に入っていたので、学部の違う友人もたくさんできました。女性は少なかったですが、その分、女性の先輩後輩とは縦のつながりがあり、同期の友人にも恵まれて困ったことはなかったです。 幸運なことに博士前期課程修了後すぐに、母校の助手になりました。研究のテーマは生産管理。人と環境に優しいものづくりを支援する生産管理システムと、そこで用いる最適化手法の開発です。工場で生産活動を行うときに、きちんと計画を立てずに作業に取り掛かってしまうと、段取りが悪くて時間がかかり残業が必要になったり、原材料に無駄が出てコストが嵩んだりしますが、事前によく考えて計画を立てることで、そのような事態を防ぐことができます。そのために、このような計画立案問題を、組合せ最適化問題とよばれる数学モデルとして表して解くのですが、限られた時間でよい計画を求めることは、実はなかなか難しいのです。残業をなくすことで労働者に、コストを抑えることで企業に、資源の無駄をなくすことで環境にも貢献できる、そういうことを目指してより有効な最適化手法の開発に取り組んでいます。かつて数学をベースに社会の役に立つことをしたいと思いましたが、少しずつですが実現に近づけているのかもしれません。 研究以外では、授業と研究室の学生・院生の卒業研究・修士論文のための研究指導ゼミが、大きなウェイトを占めています。学生たちと一緒に考えて、問題点をうまく解決できたときの彼らの達成感あふれる顔を見ると、こちらも嬉しくなります。長く勤めていると、この他に学会関係の委員や学内の委員などの役目もまわってくるようになって、徐々に忙しくなります。 女性の少ない環境ですが、これまでデメリットはなかったです。むしろ、どこに行ってもすぐに名前と顔を覚えていただけたり、重鎮の先生が話しかけてくださったり、そんな出会いが今も財産になっていると思います。 恥ずかしながら、いまだにバランスが取れていません。研究は時間をかけた分だけ進むというわけではないので、なかなか予定通りにいきません。夕方になって、今日はここまで、と思っていたところまで進んでいないと、あと少しだけと、つい思ってしまって帰るのが遅くなったりします。切り替えを自分でうまくしていかないとダメですね。 結婚してからは、夕食を作る時間を考えて、できるだけ時間がきたら切り上げるようにしています。夫も大学教員なので、仕事のことはよく理解してくれていて、学会前や論文投稿の締切時などは、家事の手抜きや遅い帰宅も黙認してくれます。買い物や家事は、平日できない分を土日にやることが多いですね。趣味5%その他10%家事25%仕事60%Personal History男女の性差やポジションで自分の中で線引きをしないで、やりたいことや気になることは臆せずとにかくやってみるべきだと思います。結果はどうあれ、その経験はきっと財産になります。失敗からも学べます。若いうちこそぜひ。私の研究分野は、工場や企業といった大きなシステムを対象としているので、最適化手法を提案しても、実際の有効性を検証することが困難です。システムをモデル化して考える際にできるだけ実際の条件を取り入れて、現場ですぐにでも試してみたくなるような内容の提案ができればと思っています。2001結婚◦学生時代(〜1989)◦社会人時代(1989〜)◦学生時代◦社会人時代将来の目標・夢Dream後輩へのメッセージMessageWork Life Balance〜1987大阪府立大学工学部卒業〜1989大阪府立大学大学院博士前期課程 修了1989〜大阪府立大学助手2001〜大阪府立大学 講師2009〜大阪府立大学准教授21

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