生命環境科学域 理学類/大学院理学研究科
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生物機能・多様性科学分子細胞生物学生体分子科学分野紹介3つの研究分野新しい薬のかたちを求めて:分子標的ペプチド医薬(ブルー)による顆粒球コロニー刺激因子/受容体(ピンク)相互作用の阻害休息中のキアゲハ。キアゲハの成虫には、羽化する時期によって形態が異なる季節多型が存在する。夏に羽化する夏型は春に羽化する春型よりも大型で翅の黒色部分の割合が高いだけでなく、行動にも違いが見られる。生体物質を分子レベルで解析し、さまざまな生命現象の解明や有用物質の開発を目指します。酵素は重要な生体物質の一つですが、その分子構造や反応機構を明らかにすることで、病気の発症機構の解明や薬物のデザイン、より高い触媒機能を持つ酵素への改変、そして天然の機能をはるかに超える人工酵素の創出などを行います。また、植物は光エネルギーを利用するためのさまざまな機構を備えていますが、これらを解明することで農産物の生産性を向上させることができます。生体内では多種多様な化学反応が常に起こっており、それを担う生体物質の構造・機能・反応機構は驚くほど巧妙です。生体分子を知り、利用し、そしてこれを超える分子を創る。そのための研究を行っています。動物・植物・微生物など、すべての生物は細胞を基本構成単位とし、その振る舞いは増殖、分化、運動、感覚応答、情報伝達などさまざまです。そして、これらはすべてゲノムの情報にもとづいて維持・調節されています。分子細胞生物学分野は、細胞組織工学、分子生物学、細胞生物学、分子細胞遺伝学、放射線生物学から構成されます。この分野では、細胞、組織、個体など比較的高次のレベルでの生物の振る舞いを良く観察するとともに、これらの生命現象を決定する遺伝子の構造と働きを明らかにすることにより生物らしさの本質に迫ります。また、酸化ストレスや環境汚染物質などの影響とこれに対する生体防御の機構を解明するための研究にも取り組んでいます。多くの生物は、祖先から受けついだ1組のゲノムを含む受精卵から発生・成長し、子を残し、一生を終えます。その過程では、遺伝子から読み取られる情報を基に細胞内で起こるさまざまな化学反応が生命を支えています。その一方、多くの生物個体は、環境への適応によって生存と繁殖を可能にし、個体群は他の多くの個体群と相互作用して生物群集・生態系を形づくり、適応度を高める形質や行動が進化してきました。この領域は、理論と実験と野外観察により、植物の成長・発達の調節、植物と微生物の共生、生物の個体数変動、種組成や個体群の特性の地理的変異などを研究し、生物の適応や多様性の維持機構、地史と生物進化の関連を解明することを目指します。生体分子科学分野分子細胞生物学分野生物機能・多様性科学分野25

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