プレスリリース

「同期現象」をデザインできる新しい理論的手法を開発―新たな光源や高効率な量子計算手法の開発に貢献―

更新日:2017年5月17日

大阪府立大学大学院工学研究科の余越 伸彦助教と石原 一教授(光物性理論・量子光工学)らによる研究グループは、「同期現象」研究のための新たな理論を開発しました。分子発光や量子計算の大幅な効率化に結びつく研究成果です。

「同期現象」は蛍の集団発光現象や、細胞による体内時計など、身の回りの様々な現象として現れます。多数の要素が互いにリズムを合わせることで、単体にはない高度な機能を発現することが特徴ですが、本研究グループは振動体の空間配置や振動を伝える媒体の特性を取り入れることで、様々な形の「同期現象」を調べることができる理論を初めて開発しました。

研究グループは誘電体球表面に分散した蛍光分子に本理論を適用し、真空中では同期に達しないような低密度でも同期発光することを理論的に示しました。計算例では、同期により発光強度で約100倍、速度で約200倍もの増加が確認でき、高効率発光素子設計の新たな指針を与える成果となっています。

本研究で開発された理論は、他の様々な量子系にも適用が可能であり、新たな光源や高効率な量子計算手法の開発に結びつくと期待されます。

研究成果のポイント

  • 様々な形の「同期現象」を自由にデザインして研究できる理論および手法を、世界で初めて開発した。
  • 誘電体球表面に分散した蛍光分子による発光現象に適用し、同期による大幅な効率増大を確認した。
  • 同期現象を自由にデザインできることで、新たな光源や高効率な量子計算手法の開発に貢献。

同期がない場合の個々の分子の発光

概念図:同期がない場合の個々の分子の発光

全体が同期した場合の発光

概念図:全体が同期した場合の発光

なお、本研究成果は、米国物理学会速報誌フィジカル・レビュー・レターズ「Physical Review Letters」に5月18日にオンライン掲載されました。

〈論文タイトル〉
「Synchronization dynamics in a designed open system(デザインされた開放系における同期ダイナミクス)」著者 余越伸彦、小田切和喜、石川陽、石原一

お問合せ先

公立大学法人 大阪府立大学大学院 工学研究科 電子・数物系専攻 電子物理工学分野
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