大阪府立大学

共連続ネットワークポリマーを利用した柔軟かつタフなエポキシ材料の開発に成功

更新日:2021年1月15日

3次元X線イメージング法によるエポキシモノリスとCNP内部構造の可視化

3次元X線イメージング法によるエポキシモノリスとCNP内部構造の可視化

大阪府立大学(学長:辰巳砂 昌弘)大学院工学研究科 物質・化学系専攻 松本 章一教授、鈴木 祥仁助教、博士前期課程1年 冨永 蓮さんらの研究グループは、株式会社リガク X線研究所 武田 佳彦博士および株式会社MORESCO ホットメルト事業部 小寺 賢博士との共同研究によって、これまで難しいと考えられてきた柔軟性と高強度の両方の性質をあわせもつエポキシ材料である共連続ネットワークポリマー(CNP)の新規開発に成功しました。

本研究成果により、柔軟性と高強度とをあわせもつポリマー複合材料が設計できることが初めて実証され、ポリマー複合材料に関連する研究開発が大きく進展すると同時に、今後の革新的な材料開発や実用化にまで繋がっていくことが期待されます。

本研究成果は日本時間 2021年1月14日(木)午後7時に、科学専門誌Scientific Reportsにオンライン版として公開されました。

論文タイトル「Co-continuous Network Polymers Using Epoxy Monolith for the Design of Tough Materials」

社会的意義、今後の予定

エポキシ樹脂(解説1)に代表される汎用のハードマテリアルを強靭化する方法論を新らたに提案することで、省資源や省エネルギーに直接貢献できるだけでなく、高強度・高靭性材料の開発に必要となる新しい材料破壊機構の解明や、有機・無機・金属を含む材料科学分野全般で有用な材料設計への展開が期待されています。今後、高分子材料や高分子合成化学の分野だけでなく、機械工学、物理工学、数学理論など各分野の専門家との共同研究を展開し、ポリマー複合材料だけにとどまらない材料科学や材料設計を構築していく予定です。

SDGs達成への貢献

大阪府立大学は研究・教育活動を通じてSDGs17(持続可能な開発目標)の達成に貢献をしています。

本研究はSDGs17のうち、「9:産業と技術革新の基盤をつくろう」や「12:つくる責任 つかう責任」等に貢献しています。

用語解説

解説1 エポキシ樹脂

分子内にエポキシ基とよばれる酸素を含む3員環を2個以上含むポリマーあるいはオリゴマーのことで、ポリアミン、ポリチオール、酸無水物などの硬化剤と反応して不溶不融の熱硬化樹脂となる。優れた耐薬品性、耐腐食性、耐熱性、機械的特性、電気特性、接着性を示すため、塗料、接着剤、封止剤などの用途に用いられている。

関連情報

お問い合わせ

大阪府立大学大学院 工学研究科

教授 松本 章一

Tel 072-254-9292 Eメール matsumoto[at]chem.osakafu-u.ac.jp[at]の部分を@と変えてください。