大阪府立大学

2021年度 辞令交付式(新規採用教員・昇任教員)における訓辞

更新日:2021年4月15日

ただいま、新規に採用になった教員の皆さま、昇任された教員の皆さま、それぞれの代表の方々に辞令を交付させていただきました。本日、新たに本学の一員として27名の教員の方々をお迎えすることになりました。また19名の方々が昇任されました。

府大へ初めて着任された皆さまには、ようこそ、大阪府立大学へ。大学を代表して、皆さまを歓迎いたします。昇任された皆さまには、新たな気持ちで教育・研究・社会貢献に、引き続き取り組んでいただければと思います。

新しい職位、新しい職場、あるいは社会人1年目ということで、期待と不安を持ちながらこの場に臨まれていることと思います。ご存じのように、本学は来年、大阪市立大学と統合して大阪公立大学(仮称)がスタートしますが、準備期間はあと1年と秒読み段階に入りました。加えて、COVID-19によるパンデミックの影響で、大学における教育・研究活動にはかなりの制約が強いられる状況が続いています。皆さんは、ご自身の節目の年を、大変な状況で迎えていると感じられるかもしれません。しかし、変化を恐れ同じことを繰り返す社会は衰退し、人も堕落するのに対し、社会も人も大きく変わるときにこそ、進歩や発展があるのではないでしょうか。周りの状況が変化したり、困難になったときこそ、ピンチはチャンスの始まりと捉えて、是非ご自身の飛躍や発展につなげていただければと思います。

私は約40年前、大学院の修士課程を修了して、本学工学部の助手になりました。それからずっと本学で教育・研究を続けてきて現在に至っています。その間、本当に多くの周囲の方々、上司や同僚、先輩、後輩、サポートしてくれる職員さんや研究室の学生さんなどに支えられてきたおかげで、今日を迎えることができています。私が大学教員になったのは、24歳の時ですから、当時は勿論右も左も分かりませんでした。職場としての大学は、一般企業や一般教育機関とはかなり異なるところで、分かっていたのは、研究の現場で教育を行うのが大学ということだけでした。その後の教員生活において私が体得し、本日皆さまにお伝えしたいことは、研究室や専攻、研究科など、教員の周りにある様々なコミュニティを大切にしましょうと言うことです。自分の属するコミュニティの構成員全体を巻き込んで発展していきましょうということです。個人の活躍は周りを活性化しコミュニティを活性化します。周りの仲間がハッピーになると自分もハッピーになり、コミュニティ全体がハッピーになるという考えで、私は40年間の教員生活を過ごしてきました。先週NHK放送のプロフェッショナル―仕事の流儀―では、サンドウィッチマンを密着取材していました。彼らがまさにそういったコミュニティの考え方を持っていて、お笑いの世界で成功をおさめているのではないかと、大変共感を覚えました。皆さまも是非、人を押しのけるということでなく、仲間を思いやりながら、自分の信じる教育・研究をこの大学で極めていただき、研究室を、研究科を、そして大学全体を活性化していただけると有り難いです。

大学における最大のミッションは、言うまでもなく、教育・研究・社会貢献を通して優れた人材を社会に送り出すことです。学生を成長させることが、独創的な研究成果に繋がり、さらには大学のブランド力のアップに繋がり、大学に良い人材が集まるという正のスパイラルを生み出すものと考えています。「学生ファースト」そのことをまずは皆さんと共有させていただきたいと思います。

ところで、新制大学として本学がスタートしたのは72年前で、当時の大阪府知事の「日本一の大学を作る」という気概のもと設立されています。現在、大阪公立大学(仮称)開学に向けて、日本では前例のない大きな大学改革に取り組んでいるところです。まだまだ課題は山積していますが「大学人としてこんな夢のある、素敵なときに立ち会える」と敢えて前向きに取り組んでいただけないでしょうか。大阪公立大学(仮称)の10年後、20年後の姿を描くのは、若い皆さんの双肩にかかっています。「学生ファースト」で永く輝きを見通せる我が国有数の大学を共に目指していただけないでしょうか。何かと困難な状況ではありますが、教職員、学生の力を結集して、多くのステークホルダーからの力も借りて、本当に日本一の大学を作りましょう。皆さんの新しい力に大いに期待していますので、ご協力、どうか宜しくお願いいたします。

皆さんの本日からのご活躍を心から期待して挨拶とさせていただきます。

2021年4月1日
大阪府立大学 学長
辰巳砂 昌弘