大阪府立大学

令和3年 年頭の挨拶

更新日:2021年1月8日

学長の写真皆さま、明けましておめでとうございます。

令和3年のお正月、寒かったですが、とても穏やかな三が日でした。皆さまはどのように新年を迎えられましたでしょうか。

昨年は、新型コロナウイルス感染症によるパンデミックによって、世界中すべての人々にとって、これまで経験したことのないような大変な年となりました。元来、多くの人が集まることを特徴とする大学において、高等教育機関、高度研究機関としての機能を最大限維持しながら感染者を抑制してゆくという、困難なミッションに、1年近く取り組んで参りました。本学教職員の献身的なご努力によって、現在のところ大過なく大学を運営することができております。皆さまのご努力に心から感謝いたします。加えて昨年は新大学にむけての設置申請書類の作成で多大なご協力をいただき、誠に有難うございました。現在文科省で認可にむけての審査が行われているところですが、引き続きご協力、よろしくお願いいたします。

さて本学にとって2021年は、新大学設置に向けての極めて重要な最後の準備期間と位置づけられます。忘年会や新年会が開催できないこのコロナ禍で、なかなか両大学でリアルな交流がままならない状況ですが、今年はオンラインも最大限に利用して、教員、職員、学生間での意見交換、情報共有を強力に推し進めたいと思います。お互いをよく知り理解することがまずは肝要と思っています。部局間、個人レベルでの交流について、是非皆さまには積極的に取り組んでいただけると有難く思います。

一人ひとりの皆さまの取り組みの積み上げが大学全体のパワーアップに繋がります。教育、研究、社会貢献、新大学の準備に向けて個々の思いを結集し、一丸となることが新大学のパワーを生み出します。その取り組みについて、大変僭越ですが、私が皆さま方に今年是非頭の片隅に入れていただきたいと思っていることを、少し細かいことも含めて示させていただきます。教育に関すること、研究に関すること、社会貢献に関すること、そして新大学設置に関することについて、それぞれ3つの取り組みを示させていただきます。

まず、教育に関する3点。

  1. 対面、オンデマンドを組み合わせたハイブリッド授業の確立
  2. eポートフォリオを利用した学生ケアの充実
  3. 教育活動におけるPDCAの実践

の3点です。

昨年、非同期のオンライン授業を余儀なくされましたが、そこで得られた経験と資源を活かして、一人ひとりがよりレベルの高い教育を実践するための授業改善に繋げていただけないでしょうか。併せて、昨年からお願いしている学生の授業満足度の向上や教育活動のPDCAを個人で回すことにも繋げていただければ大変有難く思います。

研究に関する3点。

  1. 文科省科研費への複数応募
  2. 知財取得の重要性再確認
  3. 研究シーズマップ作成へのご協力と自身の立ち位置確認

の3点です。

今年度は科研費への応募件数、特許の出願数が減少し、高度研究型大学を標榜している本学としては危機感を感じています。ここで、すべての皆さまの意識変革をお願いし、外部研究資金の獲得と知財戦略の充実に向けて、積極的に取り組んでいただけますようお願いいたします。また今年、第6期目となる国の科学技術・イノベーション基本計画がスタートしますが、これに照らして教員の研究シーズマップを新しく作成し、活用したいと考えています。何卒ご協力のほどお願するとともに、ご自身の研究の発展に繋げていただきますようお願いいたします。

社会貢献に関する3点につきましては、

  1. 大阪府、大阪市における関連部署との連携可能性の探索
  2. 府民・市民目線での大学のあり方像追求
  3. 海外研究者との架け橋構築

の3点です。

社会貢献についても個々の皆さまの取り組みに対する意識が極めて重要です。特に公立大学では、地域との連携や融合が大きなポイントになります。産・官・民のステークホルダーを増やすことが必要で、これまで、自分には関係ないと思っておられた皆さまにも、是非できることから始めていただければ有難く思います。一方で海外のステークホルダーを増やす方策として、今繋がりを持っておられる個々の海外研究者とのパイプをそれぞれ少し太く、強くする努力をお願いできないかと思っております。

最後に新大学設置に向けての3点です。

  1. 部局・個人レベルでの積極的な交流
  2. 部局の向かうべき方向性の共有
  3. 改革への積極的挑戦

の3点です。

一年前にもお話ししましたが、新大学に向けては、現在の両大学を様々なポイントから比較し、「いいとこ取り」をするのが一つの効率的かつ実質的な選択肢です。その場合、両大学の全教職員が、それぞれの大学が持つ良いところを伸ばし、形骸化しているところは改めるという謙虚な姿勢を持って、学生も巻き込んで一丸となって新大学を創っていくのが理想です。そのためには、両大学の構成員が自ら交流する機会を増やし、相互理解を深めていくことが、何より重要ではないでしょうか。今年はそのことを、一人ひとりが一層意識していただけると大変嬉しいです。

細かいことをいろいろ申し上げましたが、私からお願いしたい個々の取り組みは以上です。どうかできることから取り組んでいただけると有難く思います。

最後になりますが、本年は、一つの節目として創基140年事業を強力に進めたいと思っています。アーカイブス事業、ホームカミングデーファイナル、イノベーションアカデミー構築の3つの事業です。どうかご協力・ご支援をお願いします。その上で、同じ節目を迎える伝統ある大学として、大阪市大とともに新しい大学をスタートさせたいと考えています。昨年も申しましたが、大阪公立大学の10年後、20年後の姿を描くのは、教職員の皆さま、特に若い方々の双肩にかかっています。「学生ファースト」で永く輝きを見通せる我が国有数の大学を共にめざしていただけないでしょうか。「大学人としてこんな夢のある、素敵なときに立ち会える」と敢えて前向きに取り組んでいただけないでしょうか。何かと困難な状況ではありますが、個々の教職員の力を結集して、そして学生や多くのステークホルダーからの力も借りて、本当に日本一の大学を作りましょう。

皆さまにとって、この一年、希望に満ちた、充実した年となることを祈念して、年頭のご挨拶とさせていただきます。

2021年1月8日
学長 辰巳砂 昌弘