大阪府立大学

2020年度 辞令交付式(新規採用教員・昇任教員)における訓辞

更新日:2020年4月7日

ただいま、新規に採用になった教員の皆さま、昇任された教員の皆さま、それぞれの代表の方々に辞令を交付させていただきました。本日、新たに本学の一員として20名の教員の方々をお迎えすることになりました。また24名の方々が昇任されました。

府大へ初めて着任された皆さまには、ようこそ、大阪府立大学へ。大学を代表して、皆さまを歓迎いたします。昇任された皆さまには、新たな気持ちで教育・研究・社会貢献に、引き続き取り組んでいただければと思います。

さて、時代が平成から令和に変わり、ここにお集まりの皆さまも、新しい職位、新しい職場、あるいは社会人1年目ということで、期待と不安を持ちながらこの場に臨まれていることと思います。取り巻く状況としましては、本学は2年後、大阪市立大学と統合して新大学がスタートすることが先週大阪府議会・市議会で正式に決定され、その準備が本格化することに加えて、新型コロナウイルスの世界的感染拡大で、大学の教育研究活動が従来通りには行えないという極めて困難な状況下にあります。平穏な状況で皆さまをお迎えすることができていないかもしれません。しかし、少し大局的に見ると、ルーチンワークで同じことを繰り返す社会は衰退し、人も堕落するのに対し、大きく変わるときにこそ、社会や人の進歩や発展があるのではないかと思います。取り巻く状況が変化したり、困難であったりするこのようなときに、先生方は人生の転機を迎えておられるのですが、是非ご自身をより良く変える大きなチャンスと捉えて、飛躍や発展につなげていただければと思います。

自分のことを振り返ると、私は40年前に大学院の修士課程を修了して、本学工学部に助手として任用されました。それからずっと本学で教育・研究を続けてきて現在に至っています。学生時代、間違いなく企業に就職するつもりだった私が、あるご縁で本学の教員になったのですが、天が自分に与えた試練と思い、謙虚に取り組む決意をしました。ここで助手の辞令を戴いてから40年、色々なことがありましたが、これまで何とか大学での教育・研究を進めて来ることが出来たのは、勤め始めた頃の謙虚でひたむきな気持ちと多くの周りの人たち、仲間の支えによるところが大きいと思っています。大学の教員で周りの人たちというのは、上司や同僚、先輩、後輩、サポートしてくれる職員の方々や研究室の学生たちなどです。研究室や専攻、研究科など、教員の周りには様々なコミュニティがありますが、個人の活躍は周りを活性化しコミュニティを活性化します。周りの仲間がハッピーになると自分もハッピーになり、コミュニティ全体がハッピーになるという考えで、私は40年間の教員生活を過ごしてきました。皆さまも、人を押しのけたり、踏み台にするのではなく、仲間を思いやりながら、自分の信じる教育・研究をこの大学で極めていただき、研究室を、研究科を、そして大学全体を活性化していただけると有り難いです。

大学では、企業や他の研究機関とは異なり、特に学生に対する思いやりが大切です。大学における最大のミッションは教育・研究・社会貢献を通して優れた人材を育成することです。一人でも多くの優れた人材を社会に送り出していただきたいと思っています。学生を成長させることが、独創的な研究成果に繋がり、さらには大学のブランド力のアップにも繋がり、大学に良い人材が集まるという好循環を生み出すものと考えています。私は、これまでの教員生活において遭遇した様々な課題に対して、その選択肢のどれを選ぶか迷ったときは、必ず「学生ファースト」と考えてきました。今後もそのように考えていきたいと思っておりますので、そのことをまずは皆さまと本日共有できればと思います。

昨年4月、公立大学法人大阪がスタートし、大阪市立大学と本学は同じ法人に属する大学となりました。現在、新法人のもと、2年後の新大学開学に向けて、日本では前例のない大きな大学改革に取り組んでいるところです。歴史や文化の異なる二つの総合大学が統合するのですから、課題は山積しています。しかし日本一の大学を作るという気概を持って、教職員・学生一丸となって着実に歩みを進めていきたいと思います。皆さまの新しい力に大いに期待していますので、ご協力宜しくお願いいたします。皆さまの本日からのご活躍を心から期待して挨拶とさせていただきます。

2020年4月1日
大阪府立大学 学長
辰巳砂 昌弘