大阪府立大学

令和2年 年頭の挨拶

更新日:2020年1月6日

学長の年頭挨拶

皆さま、明けましておめでとうございます。令和になって初めてのお正月、大変穏やかな三が日でしたが、どのように新年を迎えられましたでしょうか。私は、年末に研究室スキー、正月は家族とのんびり過ごすという、例年通りの冬休みを過ごすことができました。このように学長としての最初の正月を穏やかに過ごすことができたのは、この9ヶ月間、優秀で献身的な多くの教職員の皆さまに支えられてきたおかげと感謝いたしております。

さて、本年はいよいよ新大学に向けて、大きな一歩を踏み出す年となります。しかし一方で、これまでにも増して従来の教育・研究・社会貢献に対しても磨きをかけなければなりません。そこで皆さまにお願いですが、是非今回の大きな変化を、個人の教育・研究・社会貢献そして学生支援に対する大きな発展・飛躍の好機と捉え、謙虚に自らの取り組みを振り返っていただけないかと考えております。その際、大学で最も大切なコンセプトは、学生をいつも第一に考える「学生ファースト」ではないかと私は思っております。

年頭に当たって、本日私からは三つのことをお話しさせていただきたいと思っております。一つ目は「今年の取り組み」で、今年になってまずは皆さまにすぐに取り組んでいただきたいことです。二つ目は「昨年を振り返って」で、昨年私が皆さまにお願いしたことの確認です。三つ目は「10年後、20年後に向けて」で、今後、新大学あるいはそれ以降に向けて考えていただきたいことをお話ししたいと思います。

まずは「今年の取り組み」ですが、今年すぐに皆さまに取り組んでいただきたいことは、これまで本学で謳ってきた「垣根のない大学でつながり」の一層の進化です。これまで十年来の取り組みで、外部から見て本学は開かれた大学に着々と変わりつつあると感じます。多様・融合・国際も定着してきていると思います。しかし、まだまだ部局間、専攻間、分野間の壁が高いところも見られます。今年は、個々の教職員の意識として、是非学内の垣根をさらに低くしていただいて、部署の異なる教職員間、また教員・職員間の相互理解を一層深めていただければ、そして、本学の研究活動の大きな特徴である21世紀科学研究センターがめざす部局横断型で、異分野融合型の研究をより一層推進していただければと思っております。

またさらに、これを同じ法人内での学校間の垣根を低くすることにも広げていただければと思っております。すなわち、一法人二大学一高専になりましたので、新大学への設置申請を控えた今年は特に大阪市立大学との実質的な交流を活発化していければと考えております。そのためには、まずはお互いを知ることから始めては如何でしょうか。新大学に向けては、現在の両大学を様々なポイントから比較し「いいとこ取り」をするのが一つの効率的かつ実質的な選択肢です。その場合、両大学の全教職員が、それぞれの大学が持つ良いところを伸ばし、形骸化しているところは改めるという謙虚な姿勢を持って、学生も巻き込んで一丸となって新大学を創っていくのが理想です。そのためには、両大学の構成員が親しく交流する機会を増やし、相互理解を深めていくことが、何より重要ではないでしょうか。今年は、そのことを皆さま一人一人が意識していただけると大変嬉しいです。

会場の様子二つ目の「昨年を振り返って」ですが、昨年私から皆さまにお願いしたことの一つは、教員活動情報データベースを使ってご自身の最新の学術論文等が外部から確認できるようにまずはしてくださいということでした。多くの教員の皆さまに入力いただき、現在では、大部分の教員の活動が外部から確認できるようになりました。お忙しい中、ありがとうございました。今後は、100%の入力をめざすとともに、継続的、積極的にデータベースの活用をお願いしたいと思っております。

このデータベースは、外部への情報公開の義務を果たすことのほか、今後の年度計画の達成状況の把握や自己点検にも活用したいと考えております。その第一歩として、昨年11月、大学内部で自ら組織的に取り組む「FD」の項目の入力をお願いしました。eポートフォリオの利用と取り組みに関してです。結果は十分活用されているとは言えなかったのですが、これが出発点と考えていますので、是非この後期、1月、2月から授業アンケートを含めeポートフォリオの活用をお願いいたします。授業アンケートへの対応等は「学生ファースト」の本丸と捉えて、どうかよろしくお願いいたします。毎年、様々な年度計画の達成状況をチェックしていますが、今後はこのデータベースを活用して状況把握し、PDCAサイクルを回していきたいと考えております。

昨年お約束したこととして、今年度までで教育・研究・社会貢献・その他で顕著な貢献をされた教職員の方を対象に、学長表彰という形で表彰したいと考えております。3月まで、もうひと頑張りしていただき、年度替わりを楽しみにしていただければと思います。

三つ目の「10年後、20年後に向けて」です。今皆さまは新大学準備に向けて、本当に忙しい状況にあることを承知しています。本来の教育・研究・社会貢献・学生支援に加えてのミッションということで、この時期に本学に居ることだけで疲弊すると感じておられるかもしれません。しかし、逆にこれは個人にとっても大きなチャンスと考えていただけませんか。今回の新大学設立は、我が国ではこれまで例がない、総合大学同士の大規模統合です。このような大きな改革に当事者として立ち会えることは、ある意味、個々の教職員にとっても得がたい経験ではないかと思います。ダーウィンの進化論の話を出すまでもなく、毎年同じことを繰り返すだけの組織は間違いなく衰退し、変化してゆくことによってのみ、生き残っていく道は開けます。これまで本学は統合や改組を繰り返す中で、よりよい組織のあり方を考え続けてきました。変わるときに多くの人が知恵を出し合って、大きな進歩を重ねてきました。私の乏しい経験の中では、1997年の工学部の改組において、新学科「機能物質科学科」を立ち上げたとき、私も含めた当時の若手教員がその学科のあり方について、真剣に考え、議論したことを昨日のことのように覚えています。そのことが教育や研究に支障をきたすことはなく、新学科をどうしていくか、どのように良い学生を育てていくかについての熱い議論に加われたことは、私にとっての大きな財産になっています。

辰巳砂学長2022年の開学は決してゴールではありません。新大学がスタートするとき、ある意味で本当の改革が始まるのかもしれません。少なくとも、そこから完成年度までは、教育の上で3つの大学が並立することになります。その後の姿を描くのは、ここに居られる皆さま、特に若い教職員の皆さまの双肩にかかっています。人生100年時代とも言われるこれからの社会にあって「学生ファースト」で50年先の輝きを見通せる我が国有数の新大学像を共に描いていただけないでしょうか。「この困難なときを共に生き、考えることが将来の力になる」あるいは「大学人としてこんな夢のある、素敵なときに立ち会える」と敢えて前向きに取り組んでいただけないでしょうか。きっと10年後、20年後、皆さま一人一人にとっての大きな財産になっているものと確信しております。

年頭に当たって、私が本日皆さまにお話ししたい三つのことは以上ですが、最後に皆さまに新たなご提案があります。大阪市立大学は本年が大学創設140年にあたるため140周年事業を進めており、今年5月に記念式典を開催することになっています。本学は7年前に創基130年事業を実施しましたが、この機会に同じ法人内の大学として、市立大学と同様に記年事業を企画したいと考えています。すなわち、3年後を見据えて、創基140年事業を今年から展開してはどうかと考えております。その主な目的は、大阪府立大学のアイデンティティーを象徴し、新大学においてもそれを原動力に発展していけるような多機能なセンターをここ中百舌鳥キャンパスに建設してはどうかと考えています。創基130年の折には国際交流会館I-wingなかもずを建設しましたが、今回はさらに広く「人が集まる」ための施設をイメージしています。どうぞ皆さまにはご理解、ご支援、ご協力をお願いいたします。

個々の教職員の力を結集して、そして学生や多くのステークホルダーからの力も借りて、本当にみんなでワンチームになって日本一の大学を創りましょう。皆さまにとって、この一年が希望に満ちた充実した年となることを祈念して、年頭のご挨拶とさせていただきます。

2020年1月6日
学長 辰巳砂 昌弘

関連リンク