大阪府立大学

2019年度 新規採用教職員に向けての訓辞

更新日:2019年4月5日

ただいま、新規に採用された教員の皆さま、昇任・再任された教員の皆さまに辞令を交付させていただきました。また、法人理事長より辞令を受けられた新規採用の職員の皆さまにも、この場にお越しいただいております。本日、新たに本学の一員として26名の教員(うち女性7名)、8名の職員(うち女性7名)の方々をお迎えすることになりました。

ようこそ、大阪府立大学へ。大学を代表して、皆さまを歓迎いたします。

私も本日、阿倍野の法人本部において、西澤理事長から公立大学法人大阪の副理事長、大阪府立大学の学長を拝命したところです。皆さまと同じように、私も身の引き締まる思いです。

自分のことを振り返ると、私は39年前に大学院の修士課程を修了して、本学工学部に助手として任用されました。それからずっと本学で教育・研究を続けてきて現在に至っています。学生時代の研究分野とここ大阪府立大学での研究分野がかなり異なっていましたし、元々強く希望していた職ではなく、当時はそもそも大学教員が自分に向いている仕事だとも思えませんでした。天が与えた大きな試練と捉え、本学での社会人生活をスタートさせたのを覚えています。当時研究室の学生と区別がつかなかったので、1年間は毎日スーツ、ネクタイで通勤しました。それから39年、色々なことがありましたが、これまで何とか大学での教育・研究を進めて来ることが出来たのは、勤め始めた頃の謙虚でひたむきな気持ちと多くの周りの人たちの支えによるところが大きいと思っています。

先日まで大相撲の大阪場所が開催されており、貴景勝関が大関に昇進しましたが、その決意を示す口上に「武士道精神」に加えて「感謝と思いやり」という言葉が入っていました。勝負の世界ではあまり使われてこなかったこの言葉、私は何処の世界でも最も基本的なスタンスと思っています。大学では特に学生に対する感謝と思いやりが大切と思っています。大学における最大のミッションは教育・研究・社会貢献を通して優れた人材を育成することだからです。

そして、職員と教員の協力体制はこのミッションを達成する上で不可欠で、教職員相互の感謝と思いやりによって、一人でも多くの優れた人材を社会に送り出していただきたいと思っております。学生を成長させることは、独創的な研究成果に繋がり、さらには本学のブランド力アップに繋がり、良い人材が集まるという好循環を生み出すものと考えています。

これまでの教員生活において遭遇した様々な問題や課題に対し、どの選択肢を選ぶか迷ったときは、必ず“学生ファースト”と考えてきました。今後もそのように考えていきたいと思っておりますので、そのことをまずは本日皆さまと共有できればと思います。

また私は、研究室を主宰する教授として、年度初めに研究室のメンバーに必ず提案してきたことがあります。入れ替わりのある20人ほどの研究室学生を集めて、年度初めの挨拶で約20年間一貫して提案してきたのは「気持ちよく健康に毎日を生きる」です。働き方改革が叫ばれる中、初めて私が臨むこの辞令交付の場においても、同じ提案をさせていただきます。心も体も健康な状態で初めて皆さまに継続的に良い仕事をしていただけると思っておりますので、服務管理をきっちりした上で、それぞれの持ち場で能力を最大限発揮していただきたいと願っています。

本日、公立大学法人大阪がスタートし、大阪市立大学と本学はいよいよ同じ法人に属する大学となりました。今後は新法人のもと大学統合を進めていくことになります。大学統合によって誕生する新大学は4つの強みを持っています。(1)両大学の伝統に裏付けられた多様な分野(2)公立大学で全国一のスケール(3)大都市立地(4)設立団体との緊密な関係の4つです。加えて、規模やランキングが近いにもかかわらず、ストロングポイントが異なり相補的である点が、統合に向けての駆動力です。本学のアイデンティティーを継承・発展させながら、この大学統合を着実に進めていきたいと考えていますので、ご協力よろしくお願いいたします。そのためには、両大学の構成員、すなわち教員、職員、学生が交流する機会を増やし、まずは相互理解を深めることが先決と考えています。その上で10年先、20年先を見据えて改革を着実に進めていくことが重要であると考えております。

最後になりますが、私も学長という新しい立場では、皆さまと同じ1年生です。39年前と同じように、自分に課せられた大きな試練と捉え、謙虚な気持ちでこれからの仕事に取り組んでいきたいと思います。法人が統合されたばかりで、何かと当初は混乱もあろうかと思います。皆さまにご迷惑をおかけする局面もあろうかと思います。それに惑わされることなく、なすべき仕事をきっちり進めていただきたいと思っております。

本日新しい元号が発表になり「令和」となります。この新しい節目の年に、皆さまと共に新しい大学づくりに取り組めたら大変嬉しいです。

皆さまの本日からのご活躍を心から期待して挨拶とさせていただきます。

2019年4月1日
大阪府立大学 学長
辰巳砂 昌弘