大阪府立大学

平成29年 年頭の挨拶

更新日:2017年1月10日

理事長・学長 辻󠄀洋

新年あけましておめでとうございます。年末年始はいかがお過ごしでしたでしょうか?

昨年は平成24年度から始めた学域制(学士課程)の完成年で、この評価を中心に、独立行政法人大学改革支援・学位授与機構から7年に一度の認証評価を受けました。また、第2期中期計画の最終年度にあたるとともに、平成29年度からの第3期中期計画について検討を重ねた年でした。多くの教職員の方に多大な労を取っていただいたことを深く感謝申し上げます。

昨年の年頭あいさつにおいて3つの問いかけとお願いをしました。最初にその振り返りをしたいと思います。

  • 「高度研究型大学 – 世界に翔く地域の信頼拠点」という本学の理念を教室、職場、そして講演を含む学内外のいろいろな場で語り、この理念を大学全体で共有しませんか。
  • 多様・融合・国際という本学が大切にする視点をもとにして、垣根のない大学でつながりをつくり、単独では発想できなかった教育・研究・地域貢献・大学改革を進めませんか。
  • 各自の「地域と連携する国際交流」「海外に広がる地域貢献」に関する優れた事例をいろいろな場で語り、本学独自のグローバル化の方向を見出していきませんか。

この3つは、実は同じことを言っていたのかもしれません。この一年でどの程度進んだでしょうか?

ここ数年「大学のグローバル化」が謳われ、国も競争的資金を積極的に用意していますが、10年後20年後に本学ではどのようにグローバル化が進んでいるでしょうか?私はそのイメージを学内で共有して着実に準備していくことが大切だと考えています。

長崎には出島というところがあり、江戸時代に栄えました。鎖国時代にオランダの商人たちが貿易はじめ文化交流をした、今でいう特区のような地域です。これとのアナロジーで、ある文献(中央公論2015年7月号「外国人教員から見た日本の大学の奇妙なグローバル化(エドワード・ヴィッカーズ/ジェルミー・ラプリー共同執筆)」)で日本の大学のグローバル化の一つの形態が出島オプションとして示されていました。デフォルメしていうと、10年後のグローバル化の状況は、次の3つのイメージで予測されています。

  • イメージ1
    今とほとんど変わらない。大学のグローバル化というのは政府や社会の期待にもかかわらず、掛け声倒れになる。
  • イメージ2
    全学的にグローバル化が相当進み、英語の授業、外国人教員はどの研究科、学域・学類でも当たり前になる。欧米、アジアからどんどん留学生が来て、また、日本からも世界中に留学する。
  • イメージ3
    留学生や外国人教員は増えるが、ある特定のプログラムに限定される。国際交流の担当部署が強化されるが、グローバル化に関連する事務はすべてそこで行う。学内に大学版の出島ができる。
理事長・学長 辻󠄀洋

本学はどのイメージに進むと皆さんは思いますか?あるいは、どのイメージを目標として進むべきだと思いますか?この論文では、良い悪いではなく、今の日本の大学を分析した結果として、イメージ3の「各大学に出島ができるだけ」になる可能性が高いと予測していました。

私は「この文献の予測のように進んではいけない」と考えていますし、他の2つのいずれでもないような気がしています。ある想定した状況をゴールとして、学内で共有したうえで、ステップを踏み、着実に近づいていくべきだと考えています。私の想定するイメージは次のようなものです。

各専攻、各学類程度の単位で、交流協定をもった特定の大学とダブルディグリープログラムを持つようになり、その大学との間で学生を交換したり、教職員を派遣しあう。そのように相互に信頼できる姉妹校を見つけて、活発に交流することが大切だと考えます。教員もそれらの大学とクロスアポイントメントを進めます。授業は日本語と英語のミックスであっても良いし、英語だけ、日本語だけのものがあっても良い。こうしたことを通じて、協定に基づく研究教育活動の質を高めることがとても重要です。

条件の整った専攻や学類から試してみて、失敗すれば見直すという姿勢で、歩みを進めてほしいと思います。すでに実績のある工学研究科のフランスの大学院大学とのプログラム、工学域の中国の大学とのプログラムなどを参考に、継続的に安定した優秀な留学生を招き、また本学の学生も送れるように戦略的に進めようではありませんか。すでにいくつかの研究科や学類の先生には相談を始めていますし、海外の大学の幹部とお会いするときにはダブルディグリープログラムを提案するようにしています。ポテンシャルのある大学がアジアの大学であれば、「さくらサイエンスプロジェクト」を利用してその大学の教職員・学生を招へいするところから開始すべきだと考えています。

また、各事務組織は留学生に対し、日本人に対するサービスとほぼ同質のものを提供できるようになる。少なくとも「海外案件だから国際交流の担当部署に任せてしまう」という出島方式ではない。言葉は流暢でなくても、指差しやジェスチャを交えてお互いが努力してコミュニケーションを進める。10年後、20年後にはどの職員も程度の差はあれ、留学生をはじめとした外国人と交流することが当たり前になると考えます。

この考えを進める第一歩として、昨年はグローバル化推進室を設置し、学内で使う英語辞書を作っていただきました。私は学生課や教育推進課をはじめとする職員も海外に出張する機会を増やしたいと考えていますし、海外からの来客と大学運営に関する議論に参加する機会もつくりたいと考えています。本学には多くの海外からの来客があり、その中には大学運営に携わっておられる方もいます。最近は職員の方も同行されます。本学の職員が自らの言葉で、彼らと交流しない手はありえません。

また、本学がこれまで力を入れてきた地域連携と国際交流をつなげることで特徴を出し、地域連携の実績を活かして国際交流の強みとするのはいかがでしょうか?昨年、国際交流と地域連携の事務組織を一つの課にまとめました。そして、今年はこの発想をさらに強く進めたいと考えています。

今まで私の予測は、はずれることも多かったので間違っているかもしれませんが、10年後、20年後をイメージして、それを目標に今年の取り組みを考え、手を打っていきたいと考えています。

「今後の大阪府立大学のグローバル化のイメージはどうなるか、どうすべきか」という皆さまへの問いかけであるとともに、そのイメージを各部署で議論していただきたいというお願いでもあります。

本年が皆さまにとって良い年になることを祈念して、私の新年のあいさつとさせていただきます。

理事長・学長 辻󠄀 洋