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2005年度ニュース

開学記念式典における学長挨拶を掲載しました

更新日: 2005年5月11日

大阪府立大学開学記念式典

理事長・学長 南努

2005年大阪府立大学開学記念式典写真
理事長・学長 南努 写真(2005年大阪府立大学開学記念式典)

 皆さま、おはようございます。ただいま御紹介いただきました南でございます。
 開学式典にあたり、ひと言御礼ならびに決意の一端を述べさせていただきます。

 本日ここに、公立大学法人大阪府立大学の開学式典を催しましたところ、太田知事をはじめとする設立団体である大阪府の方々、若林府議会議長をはじめとする府議会議員の方々、谷口衆議院議員をはじめとする国会議員の方々、木原堺市長をはじめとする市町村関係の方々、多くの他大学の方々、近隣の高等学校の関係者の方々、各種経済団体の方々、地元の自治会役員の方々、歴代学長をはじめとする名誉教授の方々、同窓会の責任者をはじめとする卒業生の方々、後援会の方々、本学教職員、大学院生、学生等、このように多数の方々のご臨席をいただきましたことに対して、心から御礼申し上げます。

 さて、アメリカ大リーグで、日本のプロ野球選手が活躍する先鞭をつけ、今も活躍されている野茂英雄投手が、「山は高ければ高い程、意志がなければ登れない。」と言っておられます。至言ではないかと思います。
 今回の3大学の統合、再編、法人化という一連の大学改革は非常に高く嶮しい山でした。それでは私に「強い意志があったか」と問われますと、答えに窮するというのが正直な気持ちです。知事をはじめ、生活文化部の方々の献身的なご支援やご指導、府議会議員の方々のご理解とご支援、大学関係者のご協力等のお陰で達成されたものでございます。この場をお借りして、改めて厚く御礼申し上げます。

 まず、私の後ろにある青色の旗をご覧ください。これが3大学が統合して生まれ変わった大阪府立大学のシンボルとしての校章であり、校旗です。
 由来を少し説明いたします。3大学が統合して、新しい大学として再出発するにあたって、シンボルとなる校章デザインを募集しました。その結果、全国から実に566点の応募がありました。その中から選ばれたのがこれです。埼玉県の根本隆一さんという方の作品です。
 イチョウは大阪府の木で、3枚のイチョウの葉を組み合わせることで、3大学の統合を象徴しています。スクールカラーとしては「知性」と「はつらつとしたイメージ」を感じさせるために、海の青・マリンブルーに、さらに強調して、ウルトラマリンブルーという明るい青色になっています。今後、大学のシンボルとして、いろいろな機会を通じて、この校章の周知と浸透を図っていきます。

 いま大学は極めて大きな変革期の真只中にあります。これまでわが国で、高等教育制度が大変革をしたのは、今回を含めて3度あると思います。第1回目は、明治維新における高等教育制度の導入のとき、第2回目は戦後の学制改革に伴う新制大学の誕生のときです。第3回目として、私は平成3年に文部省が大学設置基準の「大綱化」を打ち出したときであると位置づけています。
 第1回目と第2回目はいずれも外圧によるものであったのに対して、第3回目のものはむしろ内発的変革であると考えていました。大綱化に続いて、大学院重点化・部局化、大学設置基準の緩和、さらに法人化という大きな変革の流れは、18歳人口の減少、国だけではなく地方公共団体の財政状況の悪化とも絡んで、いまや必ずしも内発的とは言えなくなっていると思います。

 このような状況の中で我々も、府大学の統合、再編、法人化という大改革を実行しました。状況がどうであろうと、教育の重要性については、誰しも異存がないと思います。小泉首相が引用された長岡藩の米百俵の話はつとに有名ですので、繰り返しませんが、イギリスのブレア首相が1997年、就任の挨拶で述べられたことを引用します。「私に3つのプライオリティを与えられたならば、1に教育、2に教育、3に教育だ」と述べておられます。国家建設の基本が教育にあることを表現されたものと解釈できます。
 戦後新制大学として発足したときは、浪速大学であったことはご存知の通りですが、大阪府がその浪速大学を設置するにあたって、当時の赤間文三知事は、「日本一の大学をつくる。」と表明されておられます。実際その言葉に裏付けられ、大阪府の絶大な支援によって、大きく発展して参りました。私自身の個人的なことを申し上げて恐縮ですが、1960年に大阪府立大学に入学して以来、45年間お世話になっていますが、入学当時鉄筋の建物と言えばほんの3棟か4棟あっただけで、ほとんどの講義は、兵舎跡の木造の学舎で受けたことを思い出しますと、隔世の感を禁じ得ません。

  一方、今、大学は、急速に進む少子化のために、間もなく、2007年には大学全入時代が到来すると予測されています。さらに国公立大学の法人化ということが加わって、これら2つの要因のために、大学間の大競争時代に突入しています。
 少子化のことから少し触れますと、大学全入時代になれば、受験競争はなくなるかというと、決してそんなことはありません。こういう状況になりますと、日本全国で約700ある大学は、3つのタイプに分かれていきます。1つ目は「選抜の厳しい大学」、2つ目は「入学の際にある程度の競争を伴う大学」、3つ目は「事実上だれでも入れる大学」です。本学はもちろん、今後とも「選抜の厳しい大学」であり続けなければなりません。そのために教職員一同、これまで以上の一層の努力をいたします。

 2つ目の法人化の問題は、大学に籍を置く者として、少しおこがましい言い方ですが、たぶん今後の日本の社会に大きな影響を与えるだろうと思っています。大学が変わることで徐々にではあっても、社会に変化をもたらすであろうと考えています。私はこの大きな変化のときを、大きな発展の起爆剤にしたいと願っています。自主的、自律的運営が可能になることで、新たな発想や企画を推進し、発展につなげていきたいと思います。一方、自主性、自律性の獲得ということは、同時に自己責任の増大ということを意味しています。本当に発展できるか、衰退に向かうか、これまで以上に、我々構成員一人ひとりの責任が問われていることを強く認識しております。

 それでは、新たに再出発した大阪府立大学が、何を目指すかということについて考えます。
 ひと言で言うならば、「世界に通用する“高度研究型大学”」ということです。このことは、平成14年12月に策定された「大阪府大学改革基本計画」にもうたわれ、大学法人の中期目標にも盛られています。
 今年の1月28日付で中央教育審議会が、「わが国の高等教育の将来像」という答申を文部科学大臣に提出しています。「知識基盤社会(knowledge-based society)」の時代と言われる21世紀における高等教育の在り方全般について提言をしています。その中で、大学のもつ機能として、次の7つを掲げています。1つ目が世界的研究・教育拠点、2つ目が高度専門職業人養成、3つ目が幅広い職業人養成、4つ目が総合的教養教育、5つ目が芸術や体育等、特定の専門分野の教育・研究、6つ目が地域の生涯学習機会の拠点、7つ目が地域貢献、産学連携、国際交流等の社会貢献機能です。各大学は、これらすべての機能ではなく、一部を保有するのが通例であって、それらのいくつかの機能に対する比重の置き方によって、将来、緩やかに機能別に分化していくだろうと書かれています。

 本学は5つ目の芸術や体育等、特定の専門分野の教育・研究という項目を除いて、残りの6つともをバランスよく伸ばしていきたいと思っています。なかでも1つ目の世界的研究・教育拠点、2つ目の高度専門職業人養成、7つ目の地域貢献、産学連携等の社会貢献機能に重点を置いて、大競争時代を勝ち抜いていきたいと願っています。
 ダーウィンの進化論には、「強いものが生き残るのではなく、賢いものが生き残るのでもなく、変わり得るものが生き残る。」と書かれています。大学間の大競争の時代に、生き残りをかけて変わっていかなければなりません。ただ生き残るだけではなく、発展し続けなければなりません。

 われわれ本学の構成員である教職員や学生は、大学の一層の発展のために精いっぱいがんばりますが、国はもとより、設立団体であります大阪府や、府議会、さらに後援会、同窓会の方々や、本日ご臨席いただきました多くの方々の、今後ますますの温かいご支援やご鞭撻をお願いしまして、御挨拶とさせていただきます。