大学案内

平成28年 年頭の挨拶

2016年1月4日

理事長・学長 辻洋

 新年あけましておめでとうございます。穏やかな年末年始でしたが、皆さまは、いかがお過ごしだったでしょうか。

 昨年4月に理事長・学長を拝命して早くも9か月が経ちました。6月に博士課程教育リーディングプログラムで招へいした米国の教授に思わず「思った以上に大変でやっていけるのだろうか」というようなことを話したところ、「You are not alone in your role」と言われてはっとしました。「皆さまと一緒にいて、この職をやっていけるのだ」と改めて思った次第です。昨年、いろいろな課題にも、皆さまが精力的に動いて解決にご尽力いただいたことに深く感謝しております。

 今年は学士課程である学域の完成年度で、その評価を中心に7年に一度の認証評価を受けることになっています。すでに多くの教職員の方々に多大な労をとっていただいておりますが、同時に、第2期中期計画の最終年度を迎え、財政のひっ迫した年にもなり、こちらでもご苦労をお願いすることになります。

 また、今年は、第3期中期計画を作っていく年になります。これは平成29年度から6年間の計画になりますので、そのためには10年ぐらい先の大学像をイメージして策定することになります。過去2年間、大阪市立大学との統合に関して、膠着した状態が続いていますが、大きな方向は統合であり、先月の府議会の議決でもって、一歩進められるのではないかと考えています。「天橋立を山上から見るのが好きだ」と申しているのですが、遠くまで見る(長期的に)、広く見る(多面的に)、足元を見る(根本的に)、時に上下逆転してみる、という姿勢で、大阪の公立大学としての本学の将来の姿を皆さまと議論しながら中期計画を作っていきたいので、どうぞよろしくお願いします。

 さて、新年を迎えるにあたって、三つの問いかけとお願いをしたいと思います。一つ目は、大学の理念である「世界に翔く地域の信頼拠点」について、二つ目は、昨年理事長・学長に就任したときに述べた「垣根のない大学でつながりを」ということについて、最後の三つ目は「グローバル化」についてです。

理事長・学長 辻洋

 一つ目の「世界に翔く地域の信頼拠点」に関してですが、この我々の大学の理念を教職員、学生、卒業生、受験生そして地域の皆さまに訴求する努力が不足しているのではと危惧しています。「世界に翔く(はばたく)」という主語は大阪府立大学と考えるのが普通かも知れません。しかし、私は、教職員、そして学生たちにも羽ばたいてほしいと願っています。

 また、「世界」というのは国内に対する海外ということだけでしょうか。「高度研究型大学」という冠を見るとそう捉えるのが普通かもしれませんが、学界に対する産業界であってもいいし、「理論を取り扱う学内」に対する「実際の地域課題を扱う学外」であってもいいのではないでしょうか。

 教員の方も職員の方も、それぞれの立場でこの「世界に翔く地域の信頼拠点」という理念を『頻繁に』語り合いませんか。いろいろな角度から、この「世界に翔く地域の信頼拠点」として、我々の教育・研究・地域貢献・大学運営を語りませんか。そして、授業の場で、学外における発表の場で、大学運営の場で、私たちが「世界に翔く地域の信頼拠点」をめざして「何をしているか」を絶えず、そして繰り返し問い続け、その証(あかし)を示していきませんか。私たちは、「大阪府立大学といえば、世界に翔く地域の信頼拠点だ」と知られるようになりたいと思います。

 二つ目は、「垣根のない大学でつながりを」についてです。私は2002年に民間から大学に着任しました。そのとき学内でどんな研究テーマがあり、どんな設備があるのかなかなかわかりませんでしたし、わかる術も少なかったように思います。その後、法人化を契機にして大学改革が進み、大学の情報公開が進み現在に至っています。広報活動を通じても学内の教職員の活動、学生の活動がわかるようになってきました。

 折角わかるようになったので、ここからもっともっと「つながり」を作っていきませんか。大阪府立大学には多様な専門分野、価値観の方がおられます。単独では発想できないことを「つながり」を作ることで見出していきませんか。800人の教職員がいて、2人の組み合わせは、実に32万通りにもなります。その0.01パーセントから何か独創的なアイデアがでてきたら32もの新しいプロジェクト・成果ができるのです。3人の組み合わせ、4人の組み合わせであればもっと可能性は広がります。学外さらには海外の方とつながればもっと可能性は広がります。大阪府立大学が大切にする三つの視点「多様・融合・国際」というのは、つながりをつくる大切な視点だと思います。教員も職員もどう工夫すれば「大阪府立大学独自のつながりができるか」を考え、行動していただきたいと思います。

 三つ目はグローバル化に関することです。本学のメインキャンパスがある堺市は、この名前のとおり摂津、河内、和泉の三つの国境、つまり、国際にあるわけです。応仁・文明の乱以降は、日明貿易の中継地として栄え、日本の固有文化を大切にしつつ、異文化を受け入れたところです。このようにみると「地域と連携した国際交流」ができる場に我々はいます。

 今行っている教育・研究・地域貢献のやりかたを急に大きく変える必要はないのですが、授業、講演、公開講座などで何か工夫ができないでしょうか。例えば、授業の中で各教員のグローバル体験(特に地域と連携した国際交流)や考えるところを5分でも10分でも学生に語り続ける、あるいは、学生たちに課題を与えて、「海外を知り地域(大阪)を学ぶ」「地域(大阪)を知り海外を学ぶ」という視点を示すことなども考えられます。

 明治以降の先人たちが欧米語の専門用語に適切な和訳をつけてくれたおかげで、私たちは日本語によって、欧米で発展した研究成果を学べる環境にいます。一方で、ともすれば、専門用語のもととなる外国語すらよく知らないケースが多々あるのではないかと危惧しています。

 近年では英語が国際会議の公用語になるなど、世界標準の言語となりつつあります。「世界に翔く」ためには、コミュニケーションのツールとして欠かせなくなっています。そこで、学生たちに対して、専門用語(さらには教科書・参考書)に英語のものがある場合には日本語だけでなく英語も使うなど、本学独自の工夫を議論していきませんか。事務の帳票についても計画的・段階的に、日本語と英語を併記することを進めませんか。これは「グローバルとローカルをつなぐ」ということになると思います。それぞれの部局・部署でバイリンガルへの工夫をしていただきたいと思います。

 以上、実は三つは同じことをお願いしているのかもしれません。すでに取り組んでいただいていることもあると聞いています。繰り返しになりますが、

  1. 「世界に翔く地域の信頼拠点」という理念を講義、講演、そしていろいろな場で語り、この理念を大学全体で共有していきませんか。
  2. 多様・融合・国際という視点を大切にして、垣根のない大学でつながりをつくり、「単独では発想できなかった」教育・研究・地域貢献・大学改革を進めていきませんか。
  3. 各自の「地域と連携するグローバル体験」「地域と連携できるグローバル体験」をいろいろな場で語り、本学独自のグローバル化を見出していきませんか。

 以上の問いかけとお願いをもって、そして本年が皆さまにとって良い年になることを祈念して、私の新年の挨拶とさせていただきます。

理事長・学長 辻 洋