大学案内

平成27年度入学式式辞

2015年4月6日

辻洋 学長
平成27年度入学式

はじめに

 新たに入学試験を合格されてここ大阪国際会議場におられる皆さま、またご家族の皆さま、ようこそ、大阪府立大学へ。学士課程に入学された方1409名、編入で学域生になられた方33名、さらに博士前期課程669名、博士後期課程83名、博士課程11名の方をお迎えすることができました。

 ご来賓の方を迎え、このように盛大な入学式を挙行できることを嬉しく思うとともに、ここに大阪府立大学を代表しまして、皆さまを心より歓迎いたします。

 入学おめでとうございます。

夢と目標と計画

 さて、私は、先日、首都大学東京の理事長である川淵三郎氏(日本サッカー協会最高顧問)にお会いしたのですが、川淵氏は「夢があれば強くなる」という言葉を大切にされています。また、人権問題で有名なマーチン・ルーサ・キング・ジュニア牧師は、人種差別の終焉を呼びかける際に「I have a dream」「私には夢がある」という有名な演説をされています。

 皆さんは夢をお持ちでしょうか?夢に関しては明治維新の精神的指導者であった吉田松陰氏は「夢なき者に成功なし」と言い、理化学研究所の創設者である渋沢栄一氏は「夢なきものに理想なし」と言ったとされています。

 たしかに夢を持つことは何かを行動に移すうえで大切なことだと思います。皆さんには、夢はありますか?夢を持つことは大切ですよね?

 自分自身を振り返ってみると、私は夢を持っていたときもありますし、持てなかったときもあります。学生の皆さんの中には語れる夢をお持ちの方もおられると思いますが、その一方で「今は明確には自分の将来の夢を語れない」という方も多いのではないでしょうか?夢が語れなければ若者として不足なのでしょうか?私は必ずしもそうは思いません。

 夢に関しては、夢八訓という言葉も広く知られています。これは、

夢のある人は希望がある
希望のある人は目標がある
目標のある人は計画がある
計画のある人は行動がある
行動のある人は実績がある
実績のある人は反省がある
反省のある人は進歩がある

 そして、さらに、

進歩のある人は夢がある

 つまり、この流れに沿っていくとサイクルになっているのです。今紹介したのは、「夢」からスタートしましたが、私は、このサイクルを実現するには、必ずしも「夢」からスタートしなくてもいいと考えています。

 つまり、今現在、仮に自分の夢がなくても、先生や先輩から与えられた計画に対して、自分の考えで行動すれば実績となり、その実績をきちんと反省すれば進歩し、その後に、夢がもてるようになると考えています。ですので、皆さん、夢がある人は目標をたてて計画を作ってください。夢を明確に持っていない人は慌てることなく、大学生として、あるいは大学院生として、何らかの行動を起こしてください。そして必ず実績を残し反省をしてください。行動を起こしてもそのままでは、あなた方に進歩はありません。

 大阪府立大学には、学生の皆さんの夢をサポートする教職員がたくさんいます。学生の皆さんが計画をたてたり、行動を起こしたりすることをサポートする教職員がたくさんいます。大阪府立大学には、「視野を広げるために留学をしたい」と夢をお持ちの学生の皆さんを支援するプログラムがあります。「地域課題の解決に取り組みたい」とか「ボランティアをしたい」という「まず行動を起こしたい」という学生の皆さんを支援するプログラムやサークルがあります。産業界をけん引するリーダーを育成するプログラムや起業家を育成するプログラムもあります。大学生活を楽しんで欲しいと願っています。

長期的な思考・多面的な思考・根本的な思考そして発想の転換

 大学は皆さんが学習するためのプログラムを多く用意しているのですが、皆さんは、皆さん自身の計画あるいは行動というものに対して、どのように取り組めばいいのでしょうか?私は、皆さんには、幅広い学びをもとに長期的、多面的、根本的に考察する力をつけてほしいと願っています。これを私の好きな天の橋立を用いて話をさせていただきます。

 文殊堂というお寺から大天橋と呼ばれる内海と外海に分けている細長い陸地に入ると、松林のある砂浜があります。この大天橋では左右に海が見えるのがとても珍しく美しいのですが、私が好きなのはここではありません。

 丘に登って、小高い成相山に登ると視界は一変し、麓にいたときはたかだか数100メートル程度しか先が見えなかったのが、天気さえよければ何十キロと遠くまで見えます。近くにはなかったものが見え始めるのです。天橋立は、近くだけ見るのではなく、遠くまで見る大切さを教えてくれます。

 さらに、山の上で、首を左右に振ると当然ながら正面に見えていたものとは違うものが見えてきます。特に内海と外海で色が違うことに気づきます。風のためか浪の大きさや形の違うということにも気づきます。天橋立は物事を一面的にとらえるのではなく広く、できれば多面的に考察し、複数の事項を比較することの大切さを教えてくれているように感じます。

 ふと足元を見ると、特急電車が走っていたりします。「どこから来たのだろうか?」。トラックが大きな荷物を運んでいたりします。「どこへ走って行くのだろうか?」。小舟が漁をしていたりします。「広い海なのに、何故、あんな狭いところに密集するのだろうか?」。天橋立は、壮大な景色の中、我々の生活の根本を考える大切さを教えてくれるように感じます。

 そして、天橋立といえば、もう一つ、股覗きが有名ですね。天地逆転します。今まで海だったものが空になり、空だったものが海になります。今まで見えていたものとは違う景観が瞼に躍り込んできます。東洋思想の「長期的に、全面的に、根本的に考える」という教えに加え、「持続可能な社会を構築していくには、時に発想の大転換が大切だ」ということを教えてくれます。

 大阪府立大学に入学された皆さんは、夢を膨らませていくためにも、目標・計画を持つとともに常に反省と自分の進歩に関心を示し、柔軟に長期的・多面的・根本的な発想と、時には発想の大転換を行ってほしいと願っています。学士課程に入学された皆さんには初年次ゼミナールに積極的に取り組んで、学びの転換をしてほしいと願っています。

おわりに

 最後になりますが、本学と大阪市立大学との統合が話題になっており、ご心配をおかけしているかもしれません。大阪市立大学とは既に様々な形で連携を深め、良い影響をお互いが得ています。今後の動きについては変化があり次第、できるだけ早くお知らせいたします。大学統合の話がどのような形で進んでも、皆さんの学びに悪い影響を与えることは決してありませんので安心してください。

 以上をもちまして、本日から始まる皆さんの新しい生活における飛躍を期待して式辞と致します。

学長 辻 洋