大学案内

平成23年度 辞令交付式における挨拶

2011年4月1日

 おはようございます。本日、大阪府知事より公立大学法人大阪府立大学の理事長・学長を拝命し、2年の任期で引き続き務めさせていただくことになりました。よろしくお願い申し上げます。また、我々が提出した次期中期計画は、正式に認められ、6年間の新しい中期計画がスタートしました。

 大学の第一の使命は教育研究にあり、それを通じて社会に貢献していくことであることは、改めて申し上げる必要の無い事と思います。学生を育て、国際社会で活躍できる人として輩出していく訳ですが、そこで行われる教育活動とは、もちろん何かの知識を教え込むようなことを意味しているわけではありません。多様で豊かな個性を持っている学生のポテンシャルを、いかに引き出すか、という教育本来の目的に取り組まなければなりません。しかも、“高度研究型大学”を掲げている本学は、そのような教育を“研究”というフィールドで行うことが重要であり、教育と研究は決して切り離すことが出来ないものと考えています。息の長い、忍耐の必要なものとなりますが、この活動を共にしてくださる皆さんに心から期待しています。

 さて、本日は、非常に多くの方に辞令(合計181名)を出すことになりましたが、このようになったひとつの要因は、これまで大阪府から派遣されてきた多数の方を、大学法人職員として迎えることが出来たからで、大阪府立大学にとって歴史的な日となりました。このような姿は長い間願ってきた事でした。いよいよ本日から新しい大学の歩みが始まることになりました。もちろん、これからすべてがバラ色になるわけでは無いことを承知していますが、新しく採用された方、再雇用制度を使ってこれまでと同じように活躍していただける方、さらに昇任された方達が一緒になって、新しいものを創造し、公立大学のモデルになりたいと願っています。

 東北・関東地方を襲った、M9.0という大地震は多くの町を壊滅状態としましたが、そこに原子力発電所の事故が重なり、世界中の人の注目を集めています。昨日のニュースを見ていますと、地震のために動けなくなった工場の部品や資材が入らないために、自動車をはじめ、様々な生産活動に支障が起こり、この震災は被災地だけでなく、日本中の経済に影響を及ぼしていることのことでした。確かに、何かをつくる場合、99%揃っていても、1%が揃わなければ完成しません。

 本日から、大阪府立大学という組織を創りあげるため、皆さんひとり一人が、その要所を固め、繋ぐ働きを担っていただくことになります。したがって、誰一人として、欠けることは許されません。建物を建てる時には、柱や壁が必要ですし、美しくするための塗装や、飾り付けも必要です。

 それらすべてを組み合わせて、建物の機能が発揮されます。私は、教員、職員、学生という、それぞれに異なった機能を持った人の集まりである大学は、有機的な組織でなければならないと思っています。

 このことを、イメージし易くするために、有機体である人間の体を考えてください。 手と足の機能は全く違いますが、手だけあればいい訳ではありません。手が足に向かって、そのやり方を批判したり、排除したりするようなことは決してありません。

 つまり、有機的なものであれば、「協力する」というような言葉は使わなくても、それぞれの機能が当然のこととして働くことで、体の機能を健全にしていくのです。大学を創っていくためには、一人ひとりが、自分が担うべき機能を考えて、有機体のように結合していく必要があり、その結果、命のかよった働きが実現されるのです。

 また、法人化の際に大きな課題であった、学生や教職員に対するサービスの質の向上、業務運営の効率化、法人経営の特性を生かした事業スキームの導入などについては、まだまだ多くの課題が山積しています。さらに、大学経営の自立性を一層高めることや、魅力あるキャンパス整備の推進などについては、その実現性を考慮しながら、長期的展望の下に具体化していくことが必要です。

 皆さんは、仕事の場として本学を選んでくださったのですから、ここでなければ実現できないような課題、言い換えますと大阪府立大学にふさわしい仕事を見つけてくだい。それが、大学を選んだ意味づけになると思います。中でも、教員の皆さんには、高度研究型大学を掲げている本学において、教育研究面でのプレゼンスを高める活動をより一層深めるようにお願いしたいと思います。大学と社会、研究分野の違い、教員と職員などの間に出来てしまう壁が無い大学・・・これを「垣根の無い大学」と呼んでいます・・・・・を目指しましょう。

 大阪府立大学は来年(平成24年)の4月に、新しい体制で新入生を迎えることになりました。本日から始まる1年は、ある意味で、新しい体制に移行するための時となり、様々な問題を解決しながら走らなければいけないと思っています。

 飛行機が飛び立つためには、必ず滑走路上を加速して、揚力を得る必要がありますが、それに似ていると言えるかもしれません。万全の備えが出来ていないまま走らなければならないことを指摘されていますが、条件が満ちれば、必ず飛び立つことが出来ます。これから進むべき道には、山も谷もあるかもしれませんが、それらをなんとか乗り越えられるように、勇敢かつ大胆に、しかも注意深く歩んで行きたいと思います。どうか、皆さんもそれぞれに与えられている自分の機能を発揮してくださるようにお願いします。

 ご活躍を期待し、ご理解・ご支援をお願いして、挨拶とさせていただきます。

理事長・学長 奥野武俊