大学案内

平成19年 年頭の挨拶

2007年1月4日

教育力の一層の向上を願って

理事長・学長 南努 年頭のあいさつ

理事長・学長 南 努

 皆さま、明けましておめでとうございます。新しい年をどのように迎えられたでしょうか。ご家族揃って、気持ちも新たに、新年を寿がれたことと思います。

 さて、3大学が統合・再編し、さらに法人化して再スタートした新大学もほぼ2年間を経過し、皆様のご尽力のお陰で、順調に推移していると思っております。

 法人化したことによって、制度的な面でいろいろの変化がありますが、そのなかでも非常に大きなものは、中期目標・中期計画の策定ではないかと思います。合計で210項目の中期目標とそれに対する詳細な中期計画を策定しました。これらの策定にあたっては、それぞれの部局で原案作成に大変時間を割いていただきましたことに、改めて御礼申し上げます。できるだけ多くの数値目標の設定もしていただきました。年度ごとにその進捗状況を大阪府の行政改革室が所管する評価委員会で評価を受けることになっています。

 法人化して1年経過した段階での評価委員会では、全体にわたって計画どおり順調に推移しているという高い評価を得たことはすでに皆様ご存じの通りです。なかでも、もっとも特徴的に高い評価を得ましたのは、外部研究資金の獲得状況です。「法人化前に比べて、30%の増加を目指す」という目標を立てました。この数値目標は教員定数の削減計画と合わせて考えると大変困難なものであるということは、中期目標・中期計画の策定に当たって大変議論になりました。このことは、皆さんも記憶に新しいところと思います。

 ところが何と、この目標を1年目で達成いたしました。さらに嬉しいことに、今年度も、まだ途中経過ではありますが、すでに昨年度実績を大幅に上回る状況になっています。このような事実は、法人化にあたって、先生方が緊張感を持って対処してくださったお陰であると感謝しております。どの大学も外部研究資金の獲得に血眼になっている状況のなかで、このような実績を上げてくださったことは、本学教職員のポテンシャルの高さを示す何よりの証拠であり、3大学の統合、法人化にあたって再スタートした公立大学法人大阪府立大学が掲げた「世界に通用する高度研究型大学を目指す」という目標が着々と進んでいるものと考えています。

 一方で、私にとって、少し違和感のあるご意見が聞こえてくることがありますので、つぎにそのことについて述べます。「高度研究型大学を目指す」のであれば、研究組織と教育組織を分けたらどうかとか、教育に対する負担を軽減してほしいといったご意見です。大学の存在理由は「高等教育機関」であって、優秀な人材を社会に送り出してこそ、その存在が社会から認められるわけであります。「まず教育ありき」です。高度研究型大学を目指すという場合も、アプリオリにこのことは織り込まれていると私は考えています。先生方の質の高い研究成果に裏打ちされた質の高い教育を行ってこそ、高度研究型大学の地盤が確立するものと信じています。いまごろ改めてこういうことに言及したのは、少し場違いな感じもしますが、お許しください。

 FD活動に対して先生がたが必ずしも熱心であるという印象をもてないことも、どこかで今述べたことと一脈通じているのかなとおそれています。アメリカはアクレディテーションの制度がしっかりしていて、高い教育水準にあることはよく知られていることですが、ヨーロッパも急速に教育改革が進んでいます。 1998年にパリ大学創立800年を記念してフランス、イタリア、イギリス、ドイツの教育担当大臣がソルボンヌ宣言に署名しました。内容をひと言で言えば、「ヨーロッパの大学に対して、世界に通用する教育をするように促している」ということです。さらに、このソルボンヌ宣言を受けて、翌年1999年にヨーロッパの29カ国の教育担当大臣が「ボローニャ宣言」に署名しました。イタリアのボローニャ大学というのは、近代的な意味における世界最古の大学で、 1088年に創立されています。そこにヨーロッパのほとんどの国の教育担当大臣が集まって宣言を出したということになります。その骨子は、同様に、「世界に通用する高等教育のための制度を確立させよう」ということです。もう少し具体的に言えば、「EU内のどの大学で取った単位や学位も、その質を保証し、ボローニャ宣言に加わっているどの国からどの国に就職する際にも、学位の中身とか質が企業側に分かるようにすること」を目指しています。

 このように、国を超えた教育の質の保証が国際的に求められているわけであり、われわれもこういう潮流のなかで、競争に打ち勝って、よりよい大学の構築に邁進しなければなりません。

 昨年度の後期から、学生による授業アンケートを始めました。率直に言って、学生達の授業に対する満足度が十分に高いとは申せません。先生がたに一方的に責任があると思っていません。先生がたと学生の側と双方の努力でより良くしていくことが必須でありますが、学生の声に真摯に耳を傾けていただきたいと願っています。休講が多いとか、先生が始業時刻に遅れてくるといったことに対して、多くの学生が強い不満を持っていることにぜひご留意ください。

 今後は、18歳人口が減少し、大学全入時代を目前にして、2極化が一層進むことは間違いありません。選抜の厳しい大学と、定員割れを起こし、存立そのものが問われる大学です。われわれは、もちろん前者であり続けなくてはなりません。しかし安穏としていることはできません。科学研究費やグローバルCOEをはじめとする外部研究資金の獲得とともに、現代GPや特色GPなど、主に学部教育を中心としたもの、さらに来年度から始まる大学院教育の実質化など、文部科学省の助成に対して積極的に応募していただき、1件でも多く採択されることを切望しております。文部科学省の助成も、これらの例で分かりますように、教育力の向上を非常に重視していることをご認識ください。

 キャンパスプランに簡単に触れます。総合教育研究棟が来年2月には完成しますし、獣医学専攻のりんくう移転、先端バイオ研究センターや理系新棟の建設、これらを受けて、転がし方式による古い建物のリニューアルなど、本学にとってもっとも大きな課題である老朽学舎の問題が解消して、キャンパスが一新する状況が見えてきましたので、大変楽しみにしています。その一方で、大仙キャンパスの引っ越しを今年度中に終えなければなりませんので、多くの教職員の皆さまにご迷惑をおかけすることになりますし、教室や研究室が逼迫する状態は、来年度がもっとも厳しくなると思われます。この点につきましては、正月そうそうの話題にふさわしくないかもしれませんが、どうかお互いに譲り合い、辛抱しあってしのいでくださいますことをお願い申し上げます。

 最後に、給与改定の問題に触れます。大阪府人事委員会の勧告や法人運営上大きなかかわりをもつ大阪府における取組み、法人の業務実績などを総合的に考慮し、改定することが大学運営に対する府民の理解を得る上で重要であると判断し、1月1日から給与改定を実施することにいたしました。このことは、昨年12月26日付けでお知らせしたとおりです。

 今回の改定に当たって、給与制度面などで、別途の措置を講じることとはしておりますが、教職員の皆様には大変苦しい思いをさせることになって、申し訳なく存じます。何とぞご理解・ご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。

 皆さまどうかよい年を迎えられ、本学の一層の発展にご尽力くださいますようお願いして、年頭のあいさつとさせていただきます。