大学案内

新理事長・学長就任挨拶

2009年4月1日

理事長・学長 奥野武俊

 本日(2009年4月1日)大阪府知事より公立大学法人・大阪府立大学の理事長・学長を拝命いたしました。この機会に、皆さまにごあいさつさせていただき、ご支援とご鞭撻をお願いする次第です。

 改めて申し上げるまでもなく、大阪府立大学は4年前の3大学統合・法人化を契機にして、南前理事長・学長の強いリーダシップのもとで数々の改革が行われてまいりましたが、これをさらに推し進め、セカンド・ステージに前進していくためには、まず第1期中期計画を完成させると同時に、次期中期目標・中期計画に向けた準備を開始しなければなりません。

 そのなかで、大阪府立大学が真に大阪に無くてはならない大学としてその存在感を示し、府民に愛される大学、優秀な学生を育てる大学、学生や教育職員が力を発揮できる大学になる必要があります。私は微力ながら、そのために全力を尽くしたいと思います。

 さて、本学の設立団体である大阪府は、大阪府立大学の在り方を考えることを本年度の重要課題としており、様々な視点から検討することにしています。本学は今、これからの歩みを決める上で非常に重大な局面を迎えていることは、ご承知の通りです。

 大学にとって第一に必要なことは、たとえどんなに遠回りのように感じたとしても、高等教育機関としての教育を充実させることでなければなりません。豊かな社会を実現するために産業技術の進展を担い、地域社会の文化を創造するために活躍する立派な人材を育てることが、何よりも重要であることは間違いのないことです。

 そのためには学士課程教育を充実させ、さらに研究を通じて教育する大学院において、修士や博士の学位をもった人達が産業界、医療・福祉分野、行政分野などで活躍するようにすることです。そのような学生を多数輩出する大学を目指しましょう。

 このことが、本学の理念である「高度研究型大学 ―世界に翔く地域の信頼拠点―」を実現するための基礎固めになるはずです。その上で、研究を充実させることが必要です。そのためには、まず教員一人ひとりの自由な発想に基づく研究を、高い志と探究心の基に活発に展開させ、その上に立ってはじめて、社会の様々な課題解決に組織として貢献する、いわゆるプロジェクト型研究を推進することができると思います。

 本学では、7学部のすべてに大学院博士課程が設置されましたが、研究と教育が一体となって行われる大学院は、大学の高度で先端的な研究を支える中核です。これを質量ともに充実させ、そこで生み出された文化的・知的資源である研究成果を地域社会から世界に向けて発信することが重要です。たとえ地味に見えたとしても、時間がかかったとしても、教育と研究活動の充実が大阪府立大学の存在意義を示していく力になるはずです。

 しかしながら、今、大阪府立大学に非常に強く求められていることは、このような教育・研究の結果としての成果を多くの人に分かりやすい形で還元する、いわゆる社会貢献であり、なかでも大阪という地域にどのように貢献しているかを効果的にアピールすることであることを、改めて強く認識しなければなりません。

 もともと、大学の存在そのものが地域社会や産業界、さらに行政機関をはじめ様々な団体・組織との交流を促進し、大学が生み出した新しい知的資源を社会に還元していく社会貢献になっているものであるとは思いますが、その結果を、より分かりやすい形で府民に示し、多くの人に理解されるための努力は、これまで必ずしも十分でなかったと反省しなければなりません。なかでも、府民の生涯教育などに関する取組みは、その成果が分かりやすいこともあり、これから本学が積極的に取組むべき重要な課題と考えています。

 また、法人化の際に大きな課題であった、学生や教職員に対するサービスの質の向上、業務運営の効率化、法人経営の特性を生かした事業スキームの導入などについては、まだまだ多くの課題が山積しています。さらに、大学経営の自立性を一層高めることや、魅力あるキャンパス整備の推進などについては、その実現性を考慮しながら、長期的展望の下に具体化していくことが必要です。

 このようななかで、皆さまにぜひ考えていただきたいことがございます。

 杉原千畝という方をご存知だと思います。第2次世界大戦の時にリトアニアにおられた外交官で、多くのユダヤ人をドイツから出国させるための通過VISAを発行したことで有名なかたで、東洋のシンドラーと言われて話題になったかたです。

 彼のことは、多くの人が「彼は自分の良心に従って、正しいと判断したことを行った」と評価していますが、私は、彼の行動の動機はたとえ個人的なものであったとしても、決して個人のものではなく、日本という国の行為になっていると思います。つまり、一国の大使や外交官はその国を代表するわけですから、単なるメッセンジャー・ボーイではなく、日本という国そのものを体現しているわけです。

 私は、本日、皆さんに、あなたはすでに大阪府立大学を代表する大使になっているのだと言うことを、自覚していただきたいのです。あなたが仕事をする所、出かけていく所、どこでも常に大阪府立大学の大使としての自覚のもとで行動してほしいのです。言いかえると、仕事の相手が、学生であっても、府民であっても、同僚であっても…、それらの方から、あなたの行動が大学を代表していると見られていることを強調したいのです。

 非常に重大な局面を迎えている本学を進展させるために、大阪府立大学を構成する教員・職員・学生のすべてが、大使であるとの認識を共有できれば、たとえどのような局面に出会ったとしても、強く歩んで行けると信じます。

 設立団体である大阪府の財政危機は、大学運営に非常に大きな影響を与えておりますので、これからどのような困難に向かってかなければならないか、予断は許されません。

 時には、痛みを覚悟しなければならないかもしれません。私とその痛みと苦しみを共にしていただけますか? それをお願いし、悲観的になり過ぎないで一緒に問題に立ち向かっていただきたいと願っています。そうすれば、私たちが大切にしてきたこの大学を、より強く、大きく、明るくすることができるはずです。その結果として、必ず自分たちの大学を愛し、誇りに思えるようになることを確信しています。

 皆さんのご支援・ご協力を心からお願いして、私のご挨拶とさせていただきます。

理事長・学長 奥野武俊