大学案内

平成23年度 理事長・学長メッセージ

学部・学科の垣根を取り払い、「高度研究型大学 世界に翔く地域の信頼拠点」を実現する 大阪府立大学 理事長・学長 奥野武俊

今また、新たなステージへ

 ご存知のように、2005年4月に、大阪府立大学・大阪女子大学・大阪府立看護大学の3大学が統合し、現在の新しい公立大学法人大阪府立大学が誕生しました。以来、“高度研究型大学 -世界に翔く地域の信頼拠点-”を基本理念に掲げ、着実に実績と成果をあげてきましたが、今また、大学を取り巻く環境の変化に対応し、新たな改革に取組むことになりました。

 その改革とは、理系を中心とする高度研究型大学として教育研究の質を、これまで以上に高め、社会・地域への貢献を強化し、府民から支持される大学へと変革することです。“理系を中心とした新しい大学”と言っていますが、それは決して文系の学問排除を意味しているのではありません。文系の学問を無視するような大学は、決して息の長い活動をすることはできないと思っています。

 例えば、環境問題を考えるときには、自然科学や工学からのアプローチだけでなく、哲学・倫理、歴史や文化などの視点が必要です。また、“情報”、“マネジメント”といった学問分野も、複雑な現代社会の諸問題を研究し、解決策を探るためには不可欠だと思います。

 グローバル化した今日の諸問題をシステム的に捉えることができ、地域社会や産業界を牽引する人材を育成するためには、従来の学部・学科の枠組みでは十分ではないと考えて、理系・文系の壁を越えた融合型の教育研究を行う新しい試みを検討していただいております。

『環境学』への取り組み

 ひとつの試みとして、環境問題を幅広く学ぶ「環境学副専攻」を今春からスタートさせますが、これによって文理融合型の教育研究を実感できるものと期待しています。環境に関する一連の授業を所属学部を越えて履修し、副専攻とします。そこでは、文系・理系の区別の無い科目やフィールドワークを取り込んだ充実したカリキュラムで学ぶことができます。

 実は、『環境学』は現在のところ体系づけられ学問にはなっているわけではありません。人間の疾病を治すための医学も、その昔は体系化されていませんでした。環境で取扱う地球や自然を人間の体のようにいたわり、回復力を引き出し、治す必要があると考えますと、環境学は医学に似ているかもしれません。

 新しい学問として確立するためのひとつのキーワードは「持続可能な発展(Sustainable Development)」で、これに関する教育はESD(Education for Sustainable Development)と呼ばれ、ユネスコ・スクールなどが実践しています。本学はそのための支援大学のひとつになっていますので、初等教育から高等教育に至るまで、この問題を広い視点から考えていく素地があると思っています。

地域の信頼を得る

  最近、地域貢献は公立大学にとって欠くことができないものになっていますが、関係諸機関との有機的な相互協力を強化し、大学がもつ高度な研究力・教育力を活かして、関西の活性化に大きく貢献し、府民に愛され、信頼され、高く評価される大学へと成長したいと思います。

  大阪府立大学が数年前に、本格的に地域貢献として取組んだのは、産学連携を通しての地域産業の活性化でした。その時、大学の“敷居の高さ”に気づき、これを低くするための努力を重ねることによって連携を具体化し、実のあるものにできることが分かりました。

  これからもこのような活動を継続し、さらに、もっと目に見える形で府民と関わることのできる“教育”にも新しい視点を持ち込みたいと思っています。大学を、若い時に通う単なる通過点ではなくて、生涯ずっとかかわっていける存在として人々の生活の中に組み込んでいけるなら、地域からの信頼を得ることができると思います。

垣根のない大学

  社会で活躍できる人材の育成を大きなテーマとして、大阪府立大学では、企業人や海外の教員を招聘した大学院のカリキュラムなどが始まっています。そのなかでは、研究分野の垣根を越えたテーマでディスカッションさせる試みが効果を上げています。

  異分野・異文化の人達による議論を通して、研究開発などで最も重要なことを体験的に学び、そこで養った力で、どのような場所でも役立つ人材として、社会を牽引していくことができるでしょう。  そのような教育こそ、高度研究型大学を掲げる、大阪府立大学が目指しているものなのです。多くのかたに、大阪府立大学は学部・学科間の垣根が低いと評価されており、これが大きな特徴です。学際的な学びや、実践力のある教育研究によって、大阪府立大学だからこそできる斬新なものを生み出せるように願っています。

2011年4月