大学案内

平成18年度 理事長・学長メッセージ

世界に通用する「高度研究型大学」 大阪府立大学 理事長・学長 南努

新しい伝統をもつ魅力ある総合大学へ

 平成17年度に、大阪府立大学、大阪女子大学、大阪府立看護大学が統合し、公立大学法人大阪府立大学として新たにスタートを切りました。特徴ある理系学部・学科の多い旧大阪府立大学、充実した古文書・貴重書コレクションでも知られた文系の大阪女子大学、先進の医療を担う専門職を育成してきた大阪府立看護大学。互いに異なった特徴をもつ3つの大学がいっしょになったことで、スケールメリットやそれぞれの魅力の相乗効果なども生まれ、キャンパス内外で新しいパワーを発揮しつつあります。

 新大学は、工学部、生命環境科学部、理学部、経済学部、人間社会学部、看護学部、総合リハビリテーション学部の7学部となり、6学部は博士課程まで整えた大学院研究科が設置されています。

 現在大学院のない総合リハビリテーション学部も、初めての卒業生を出す平成19年には大学院を設置する予定で準備を進めています。すべての学部に研究科がそろうのは全国の約700の大学のなかでも数少なく、「高度な研究・教育」への取組みがいっそう加速するものと期待されます。

 統合によって総合大学としての体制が強化され、幅広い教養教育・基礎教育と、高度な専門教育を徹底して行えるようになりました。私たちが目指すのは、「世界に通用する高度研究型大学」。今後は独創的で先駆的な研究・教育をさらに推進するとともに、産学官連携にも力を注ぎ、積極的に社会貢献していきます。

 本学での教育研究活動の質の高さは、教員一人あたりの論文発表数や特許取得数が多いことでも証明されています。それに加えて、国の「21世紀COEプログラム」や「現代GP」、「大学院教育イニシアティブ」などに採択される研究や教育活動も増えてきており、将来、研究者、技術者、高度専門職業人などを目指す人にとっては非常に魅力的な教育が受けられる大学といえるでしょう。

新しい大阪府立大学が目指すもの 知の創造 知の継承 知の活用 地域貢献

新しい大阪府立大学が目指すもの

無限の可能性を広げる新時代の教育への取組み

 高等教育機関が機能別に分化していき、個性や特徴を明確にしなければならない。大学の有する機能は中央教育審議会の答申にもあるように次の7つがあげられます。

 

  1. 世界的研究・教育拠点
  2. 高度専門職業人養成
  3. 幅広い職業人養成
  4. 総合的教養教育
  5. 特定の専門分野(芸術、体育等)の教育・研究
  6. 地域の生涯学習機会の拠点
  7. 社会貢献機能(地域貢献、産学官連携、国際交流等)

 私たちにとって、5はさておき、他の要素はどれもおろそかにすることはできません。なかでも、1・2・7は重点的に取り組む課題であり、それが新しい大阪府立大学の個性になるものと考えています。4についても、学生が社会に出て、新たな課題に直面したときに、適切に解決できる能力や人間力を養うためにも大切な課題として認識しています。

 そして、大阪府立大学が目指すものは、次の4つのキーワードとしてとらえることができます。世界的研究拠点としての「知の創造」、高等教育機関としての「知の継承」、産学官連携による「知の活用」、公立大学法人としては重要な役割である「地域貢献」。その本格的な取組みのために、専門部局である産学官連携機構や総合教育研究機構などを設置しました。

 学外からも理事を迎え、戦略的・弾力的な大学運営にも、いち早く着手しています。

 新しい大阪府立大学では、学生たちは可能性を切りひらき、21世紀社会をいきいきと生き抜く力が確実に身につくことを期待しています。

数値目標を立て大学全体の意識改革も進行中

 全国の大学を取り巻く環境は、いま非常に厳しい状態にあります。第一は、急速な少子化により、大学全入時代がすぐそこまで来ていること。第二は、国や地方公共団体の財政の逼迫により、大学自体に研究資金獲得の努力が求められること。第三は、グローバル化に大学も巻き込まれていることです。

 大学を法人化するにあたって、この3つは常に念頭に置かねばならないことでした。特に第二の資金獲得は、早急に取り組まなければならない課題でした。

 そのため各学部・研究科では、自分たちはどういう目的でどう進むのかを議論し、200項目もの目標をうち立て、多くの数値目標を組み込んだ6カ年中期計画を立案しました。教育と研究の数値化は一筋縄ではいきませんが、数値目標を随所に取り入れることで方向性を明確にしようという考えからです。

 とくに高度研究型大学をめざすという場合、多額の研究費が欠かせません。外部からの研究資金獲得が大切になり、これについては法人化前の30%増というかなり高い数値目標を設定しました。単純計算で毎年約5%増を達成しなければならないはずでしたが、1年目で、すでに20%以上の外部研究資金を獲得できました。

 取得特許件数やそのほかの数値目標にしても、予想以上のスピードでクリアしており、これらはすべての教員をはじめ全体の意識改革が順調に進行している成果だと考えています。

 魅力ある大学づくり、つまり入学したときよりも卒業するときにはるかに実力がついている大学づくりは、少子化時代だからこそ重要です。語学教育や海外留学制度の充実も、グローバル化への対応として積極的に進めなければならない課題です。こうしたことにも、私たちは一生懸命に取り組んでいます。

 これまでの経緯を見るかぎり、大競争時代にあっても、大阪府立大学は順調に、かつ大きく発展するものと信じて疑いません。

社会に対するイメージ戦略も今後、積極的に展開

 「あらゆる分野で活躍でき、自己主張ができる個性豊かな人材」というのが、私たちが育てたい理想の人材像です。そして国内はもとより、国際的にも指導的な立場で活躍できる人材を輩出したいと願っています。

 「大阪府立大学の学生は地味」という社会評価があるようですが、私はこれを負の評価だとは受け取っていません。こつこつと努力して成果を出していくのが府立大学のひとつの特徴であり、卒業生も実務の分野で活躍している人が多く「質実剛健・実力の持ち主の集団」です。経済学部出身の直木賞作家・藤本義一さん、工学部出身の直木賞作家・東野圭吾さん、経済学部出身で日産自動車の最高執行責任者である志賀俊之さん、このほかにも個性や実力を発揮してさまざまな分野で活躍中の先輩が多数います。

 私はこうした実力に加え、今後はコミュニケーション能力とプレゼンテーション能力を磨く教育が、若い人たちには必要と考えています。こうした力は、総合教育研究機構や学部での専門教育のプロセスで、しっかり身につけることができるでしょう。21世紀の世界で生きる実力派集団になれる素地が、ここには十分あります。

 私たちは今後、新しい大学と新しい学生像のイメージを、社会に対しても正しく積極的にアピールし、魅力ある大学像と学生像の創出に力を注いでいきます。

2006年4月