大学案内

理学部・理学系研究科 教育指針

1.理学部・理学系研究科の理念・目標

20世紀は、科学とその応用としての技術が飛躍的に発展した時代であり、それによって豊かな物質文明が実現しました。21世紀における自然科学の新たな展開を支え、ナノテクノロジー、インフォメーションテクノロジー、バイオテクノロジーなどに代表される先端科学のより一層の発展を求める社会的要請に応えるためには、これらの基盤である基礎科学の教育研究体制を充実させ、幅広い視野と高度な専門的知識とを兼ね備えた人材を育成することが不可欠です。

さて、一方で豊かな物質文明をもたらした科学技術は、同時に地球規模の環境破壊をひきおこし、それは生命の存在を脅かすまでに深刻化しています。また、情報技術がもたらした高度情報化社会は、いったん情報の混乱が起こればその存在が脅かされるまでに複雑化しています。地球環境に調和した科学技術と人間社会に融和した情報技術の創造は21世紀の重要な学際的課題であり、その解決のためには、基本的な原理に基づいて現象を本質的に理解する必要があります。すなわち、「基礎科学」の教育研究の役割は、年々その重要性を増しているのです。

私たち大阪府立大学理学部では、このような社会的要請に鑑み、主体的な探究心を育み、基礎科学分野の専門的知識を修得するとともに、豊かな教養と高い創造力を身につけた、社会の変化に柔軟に対応できる人材の育成を目指します。

また、大阪府立大学大学院理学系研究科では、主体的な探究心を育み、基礎科学分野の専門的知識のみならず豊かな教養と高い創造力を身につけた、社会の変化に柔軟に対応できる高度専門職業人・研究者の育成を目指します。自然の法則を解明し、数学的手法を駆使することによって、地球環境問題の解決や情報化社会の発展に貢献できる人材を育成する高度な教育研究を推進します。

2.教育目的

学士課程

理学部は、主体的な探究心を育み、基礎科学分野の専門的知識及び豊かな教養と高い創造力を身につけた、社会の変化に柔軟に対応できる人材を育成する。

(理学部規程 第2条)

大学院課程

博士前期課程は、先端技術の発展の基盤となる基礎科学分野の広範な専門知識の教授と研究指導を通して、主体的な探求心を育み、高い学識と創造力を有し、社会の変化に柔軟に対応できる人材を育成する。

博士後期課程は、基礎科学分野の高度な専門知識の教授と研究指導を通して、新たな研究計画の立案や評価を行うための能力、ディスカッション能力を身につけ、研究開発において主導的な役割を果たし、社会の発展に寄与しうる自立した人材を育成する。

(理学系研究科規程 第2条)

3.教育課程編成の方針

学士課程

現代社会の直面する諸課題に対する幅広い見識等を養う教養教育に加え、専門教育では基礎基本を重視し、基盤科目である情報基礎に加えて、線形代数、解析学基礎、物理学、化学、生物学及び宇宙地球科学などの幅広い専門基礎科目を設定します。さらに、各学科の特質を反映した専門講義科目及び関連する演習・実験科目を配置するとともに、先端科学にふれる充実した教育研究を行い学際的視野の育成と問題解決能力の向上を目指します。

大学院課程

学部の教育課程との連続性に配慮しつつ、基礎科学と先端科学の有機的連携のもと高度な専門科目を中心に教育課程の編成を行います。特に博士後期課程においては、研究の遂行能力に加え、新たな研究計画の立案・評価能力や多角的なディスカッション能力を培い、自立した研究者・技術者として社会に貢献できる人材を育成します。

4.アドミッション・ポリシー(学生受入の方針)

学士課程

理学部では、新しい現象の発見とその原理の解明こそが21世紀の先端科学技術の展開につながるとの認識のもと、基礎科学をベースに応用科学までを視野に入れた教育研究を目指しています。基礎科学分野の研究者・技術者を目指すためには、柔軟な発想および論理的思考にもとづく課題発見能力と問題解決能力が必要です。また、基礎科学の普遍性から共通言語としての英語による学習や情報交換が不可欠です。このような能力を発揮する可能性を有する学生を受け入れるため、理学部は次のような学生を求めています。

  1. 学部において学ぶ分野への強い関心と基礎的知識を有している人
  2. 物事および現象の本質に興味をもち、その解明に意欲の持てる人
  3. 自然科学を学ぶために必要となる英語を十分に修得している人
  4. 論理的思考力と自ら進んで学ぶ探求心を有している人

大学院課程

理学系研究科では、主体的な探究心を育み基礎科学分野の高度な専門的知識を修得させるとともに、豊かな教養と創造力を有し、社会の変化に柔軟に対応できる研究者・技術者の育成を目指しています。少人数教育の特長を最大限に活用し、密度の濃い双方向型の教育を行います。事象や物質の本質を洞察し、理解する論理的思考力とコミュニケーション能力を鍛錬するとともに、基礎科学の深い知識とその応用への視点を併せ持つ人材の育成を念頭に置き教育課程を編成しています。基礎科学分野の研究者・技術者を目指すためには、柔軟な発想と論理的思考にもとづく課題発見能力と問題解決能力が必要です。このような能力を有する学生を受け入れるため、本研究科は入学者に次の3点を求めます。

  1. 論理的思考力と自ら進んで学ぶ探究心を有していること。
  2. 専攻する学問分野の基盤と英語論文の読解力を十分に修得していること。特に博士後期課程では、これらの十分な修得に加え、英語論文を自ら作成するだけの能力を有していること。
  3. 専門分野への強い関心と基礎的な研究能力を有していること。特に博士後期課程では、自律的に自らの研究を計画、推進して行くだけの能力を有していること。

5.各学科・専攻の教育目的

学士課程

情報数理科学科

数理科学と情報科学を個別に教育するのではなく、融合領域というべき情報数理分野に重点を置き、それらを相互に連携させた教育を行います。このことにより、これからの情報化社会において直面する多様な問題を理論面と実践面から包括的に理解、整理し、その問題を解決できるような、数理的な思考力と洞察力およびコンピュータを駆使した情報処理能力と解析能力を併せ持つ、創造性豊かな人材を育成します。

物理科学科

物理科学科では、自然現象を理解する上で必要となる物理学から地球科学、宇宙科学までの幅広いスケールでの教育・研究を通じて、自然科学および科学技術に対する広い視野とともに論理的な思考能力や創造力、コミュニケーション能力を養うことを目的として教育を行います。地球環境・エネルギー資源など21世紀の様々な課題にも積極的に取り組み、科学の発展に寄与するとともに社会に貢献する人材の育成を目指します。

分子科学科

物質の示す多様な構造と性質とを理論と実験の両面から分子のレベルで解明し、優れた機能を有する新物質の創造にとりくむ「分子科学」の専門的素養を修得した人材を育成します。これらを修得する過程を通して「論理的な思考力」と「明快にコミュニケーションをとる能力」とを鍛錬し、分子科学分野はもとより、学際領域や融合領域などの新しい分野にも踏み込んでいくことのできる確固たる基礎力を身につけた人材の育成を目指します。

生物科学科

21世紀は生命科学の時代といわれ、「生物とは何か」、「生命とは何か」を明らかにするために、新たな視点からの教育・研究が求められています。生命の遺伝情報はゲノムに含まれ、遺伝子がコードするタンパク質には様々な生体機能の謎が含まれています。タンパク質の合成は精緻な分子機構により制御されていて、細胞あるいは個体レベルの様々な生理反応を演出しています。さらに個体の集合は生態系を形成し、豊かな自然環境と生物の多様性を生み出しています。このような階層構造を持つ生物科学を学ぶために、ミクロからマクロなレベルの生命現象を見通せるような幅広い基礎学力を身につける一方で、高度な専門知識も学び、生物科学のみならず学際領域や融合領域などの新しい分野にも進出す ることのできる人材の育成を目指します。

大学院課程

情報数理科学専攻

博士前期課程では、情報科学と数理科学の融合領域というべき情報数理学分野を核として、基礎数理学分野と情報科学分野の3つの学問分野を有機的に捉え、数理的な洞察力と高度な情報処理能力が涵養される教育を行い、さらに深い専門知識、柔軟な応用能力を修得できるように専門的教育研究を行います。これらにより、情報科学、数理科学やこれらの融合領域の研究者としての素養を培うと共に、数理的思考力・創造力とコンピュータによる情報処理能力・解析能力を有し、時代の変化に柔軟に対応できる高度専門職業人を育成します。

博士後期課程では、情報科学と数理科学の融合領域というべき情報数理学分野を核として、基礎数理学分野と情報科学分野の3つの学問分野を有機的に捉え、数理的な洞察力と高度な情報処理能力や、さらに深い専門知識、柔軟な応用能力を修得できるように専門的研究および教育を行います。これらにより、論理的思考力・創造力を有する、情報科学、数理科学やこれらの融合領域の研究者および高度専門職業人を育成します。

物理科学専攻

博士前期課程では、学部レベルの基盤の上に物理科学のより深い専門知識の修得と、緻密な論理的思考力を養うことを目標として教育を行います。これにより、ミクロな原子レベルからマクロな宇宙・地球科学まで幅広い視点を持ち、人類の直面する地球環境・エネルギー問題などの学際的課題にも積極的に取り組むことのできる確固とした基礎力を育成します。世界レベルの最先端物理科学研究に携わることを通して、物質や事象の本質を理解する能力と洞察力、英語によるコミュニケーション能力を重点的に鍛錬し、問題解決能力を備えた高度専門職業人・研究者を育成します。

博士後期課程では、教員の個人指導のもと、各自が個別のテーマを設定して最先端の物理科学研究を遂行することを通して、物質や事象の本質を理解する能力と洞察力、英語によるコミュニケーション能力を重点的に鍛錬します。研究の遂行能力に加え、新たな研究計画の立案と評価を行うための能力とディスカッション能力を鍛錬し、自立した研究者・高度専門職業人として社会に貢献できる人材を育成します。

分子科学専攻

博士前期課程では、学部レベルの基盤の上に分子科学のより深い専門知識を修得し、分子・物質に関連する真理探究を可能とするとともに、新分野や学際領域にも踏み込んでいくことのできる確固とした基礎力を育成します。世界レベルの最先端分子科学研究に携わることを通して、物質や事象の本質を理解する能力と洞察力、英語によるコミュニケーション能力を重点的に鍛錬し、問題解決能力を備えた人材を育成します。

博士後期課程では、教員の個人指導のもと、各自が個別のテーマを設定して最先端の分子科学研究を遂行することを通して、物質や事象の本質を理解する能力と洞察力、英語によるコミュニケーション能力を重点的に鍛錬します。研究の遂行能力に加え、新たな研究計画の立案と評価を行うための能力とディスカッション能力を鍛錬し、自立した研究者・高度専門職業人として社会に貢献できる人材を育成します。

生物科学専攻

博士前期課程では、分子から生態系までの階層構造をもつ生命現象を、普遍性と多様性の視点から総合的に理解することができる基礎力を育成し、その上に立って、高度な研究を行うために必要な手法と分析力を養うことを目標に教育研究を行います。世界レベルの最先端の生物科学の研究に携わることを通して、生物や生命現象の本質を捉えるために必要な能力と洞察力、英語によるコミュニケーション能力を重点的に鍛錬し、課題発見能力と問題解決能力を備えた人材を育成します。

博士後期課程では、教員の指導のもとに、各自がそれぞれの分野における未解決の重要な課題を設定し、最先端の生物科学の研究を遂行することを通して、生物や生命現象の本質を捉えるために必要な能力と洞察力を養います。研究の遂行能力に加えて、新たな研究計画の立案と評価を行うための能力、英語によるコミュニケーション能力やディスカッション能力を鍛錬し、国際会議での研究発表や短期海外留学を積極的に行うことにより、世界に通じる自立した高度専門職業人・研究者を育成します。