大学案内

生命環境科学部・生命環境科学研究科 教育指針

1.生命環境科学部・生命環境科学研究科の理念・目的

農学は、人類の生存基盤である食料農産物や生活・産業資材である生物資源の安定的供給を目的として、絶え間ない発展をしてきた。同時に、人類はこの生物生産活動を通して国土と環境を保全し、自らの生存基盤を確保し、良好な環境状態を保持してきた。近年は、生化学・分子生物学を基盤とするバイオサイエンスやバイオテクノロジー、環境科学などの発展にともなって、生物にかかわるこの学問領域には旧来の農学の概念をはるかに超えて、分子・細胞レベルから生態系までにかかわる広範な役割が求められるようになってきている。

人類が生命体として生存するためには、科学技術が高度に発達した今日においても、食料をはじめとしてさまざまな資源を地球生命系から獲得し続ける必要がある。人類が調和した社会の中で健全に生存し、さらに持続的に発展するためには、ヒト自身がその一員でもある生命環境をより良い状態で保ち、維持していく必要がある。そのためには、生命環境を構成する多様な生命体や生命体と環境との統合体である生命環境について、幅広い機能を詳細に解明し、得られた学術情報を持続可能な人類の発展と真に豊かな社会の構築に活用していかなければならない。

生命環境科学部・研究科では、人類が永続的に繁栄できる基盤である健全な生命環境を形成することを究極的な目標とし、生化学・分子生物学に基礎をおくバイオサイエンス・バイオテクノロジーと人類の生存環境にかかわる緑地環境科学を重点的な教育研究領域として設定し、生命環境についての総合的な教育研究をめざす。すなわち、地球生命系を構成するあらゆる生物(動物、植物、微生物)がもつ多様な生命機能・情報について、分子レベルから個体レベルにいたる幅広い観点から解明を試みるとともに、これらの生物が相互に作用することによって形成される環境や生態系の恒常性維持機能に関する研究を推進する。このような基礎的な研究で得られるさまざまな生命体がもつ多面的な機能と複雑な生命現象に関する科学的情報を体系的かつ有機的に解析するとともに、これをとりまく生命環境を修復・健全化するための理論や技術の確立をめざす。

2.教育目的

学士課程

生命環境科学部は、生物の多彩な生命現象の解明とその多面的な機能の利用をめざしたバイオサイエンスとバイオテクノロジー、生命環境の保全と創成についての専門的知識を修得するとともに、豊かな教養と問題解決能力、高い創造力を身につけた社会の多方面で活躍できる人材を育成する。

(生命環境科学部規程 第2条)

大学院課程

博士前期課程は、生命環境科学の広範な専門知識の教授と研究指導を通して応用生命科学あるいは緑地環境科学の専門領域についての知識と技術を身につけ、社会の多方面で活躍できる人材を育成する。

博士後期課程は、前期課程での教育を基礎として、より研究活動に重点をおいた教育を行い、専門領域における高度な知識や技術を持ち、総合的な視野や深い洞察力、独創 性や自立研究能力を身につけた人材を育成する。

獣医学博士課程は、応用動物科学を基に、高度獣医臨床、人獣共通感染症を含む環境リスク、食の安全性確保、動物バイオテクノロジーなどの現在社会の高度な要請に応えうる人材を育成する。

(生命環境科学研究科規程 第2条)

3.教育課程編成の方針

学士課程

教育分野を農学全般から、学術的・社会的要請が高いバイオサイエンス・バイオテクノロジーの領域に重点化するとともに、環境科学の視点を強化した教育課程を編成する。「生命機能化学科」、「生物情報科学科」、「植物バイオサイエンス学科」、「緑地環境科学科」の4学科では、専門職業人の養成をめざした基礎的な専門教育を4年間で完成させる。いずれも、大学院博士前期課程における専門教育との連続性を保ちながら、とくに幅広い関連学問領域についての専門知識と技術を身につけるための教育・指導を行い、卒業生が社会の多方面で専門職業人として活躍できるようにするための充実した基礎的専門教育を行う。また、科学技術や学術研究の本質についての深い理解、豊かな学識や人間性、真理を実証的に探究する精神などの涵養につとめる。なお、生命機能化学科には食品分野に特化した専門職業人の養成をめざした履修コースとして「食品安全科学コース」を設置する。

「獣医学科」は6年制であり、獣医師養成に重点をおいた専門教育を行い、動物およびそれに起因するヒトの健康にかかわる諸問題に対して柔軟に対応できる専門性を備えた人材を育成する。すなわち、獣医師教育の高度化に加えて、動物バイオサイエンス領域と食品の安全性評価など生命環境の健全性の確保をめざす領域を重点化した教育を行う。

大学院課程

教育分野を農学全般から、学術的・社会的要請が高いバイオサイエンス・バイオテクノロジーの領域に重点化するとともに、環境科学の視点を強化した教育課程を編成する。応用生命科学専攻と緑地環境科学専攻は区分制博士課程で、学部教育との連続性に配慮した専門教育を行う。獣医学専攻は4年制博士課程とする。

4.アドミッション・ポリシー(学生受入の方針)

学士課程

生命環境科学部は、生物の多様な生命現象・機能の解明と利用、および持続可能な生命環境の創成などに貢献する教育研究を行います。動物、植物、微生物を対象としたバイオサイエンスやバイオテクノロジーをはじめとする広範な専門教育に加えて、柔軟な発想、高い倫理観と論理的思考にもとづく課題発見能力・問題解決能力を錬成するための教育を行うことにより、学術の進歩と産業・社会の発展やそれと調和した生命環境の保全に寄与するとともに、外国語能力やコミュニケーション能力に優れ、地域・国際社会に貢献できる人材の養成を目指します。
 従って、生命環境科学部は次のような学生を求めています。

  1. 生命とその環境に対する強い関心があり、それらの基礎的知識を持っている人
  2. 論理的な思考力と自ら学ぶ探究心を備え、勉学意欲に溢れる人
  3. 国際的視野を持って地域社会や国際社会に貢献することを目指す人
  4. 高い倫理感を持って問題解決に励む意欲を持っている人

大学院課程

生命環境科学研究科は、生物の多彩な生命現象・機能の解明と利用をめざしたバイオサイエンス・バイオテクノロジー、持続的な生命環境の保全創成などについての高度な専門教育を行い、先進的な技術開発や研究、学術の発展に貢献できる人材、幅広い視野、高い倫理観と深い洞察力をもち独創的な研究能力を備えた国際的リーダーとなりうる高度技術者・研究者の養成をめざします。

そこで本研究科では、次のような学生を求めます。

  1. 生命現象、生命機能、生命環境について深い関心と理解がある人
  2. 論理的な思考力と自ら学ぶ探求心を備えている人
  3. 専攻する学問分野の基礎と英語についての十分な能力を身につけている人

5.各学科・専攻の教育目的

学士課程

生命機能化学科

化学を基盤として、あらゆる生物を対象に、生命現象を分子、細胞レベルで理解することを目的とした教育を行う。さらに、生物資源の有効利用や環境保全・修復など人類の生存・安全・福祉などに関する生命科学分野の高度な専門知識・技術を習得させる。このような教育をもとに、バイオサイエンス・バイオテクノロジーにかかわる幅広い産業分野で活躍できる人材の育成を目指す。また、食品安全科学コースでは、食品分野の専門技術者の養成を目的として、食品成分の化学、食品の加工・貯蔵さらに食品衛生や公衆衛生に至る幅広い知識を習得させる。

生物情報科学科

遺伝子から生体分子、細胞、個体、生態系までを含むバイオサイエンスの体系的な理解と応用のため、生化学や分子生物学などバイオサイエンスの基礎、バイオインフォマテイクス・バイオテクノロジー、情報工学や基礎工学などの関連分野を同時に修得させる。これらを有機的に連携させることによって、バイオサイエンスと情報工学を融合させた領域で、幅広い知識と技術を備え、複合研究領域としてますます発展するバイオサイエンス分野、医薬・食品などの生物・化学関連産業、環境・情報関連産業など幅広い分野で活躍できる人材を育成する。

植物バイオサイエンス学科

人類を含め地球上の生物の生存は、究極的には植物に依存している。本学科では食料問題や環境問題の解決ならびに医薬品や工業原料の生産へ植物の機能を資するために、多様な資源植物の探索、開発、評価、改良、生産、環境影響評価といった体系的な専門教育をバイオサイエンスの観点から行うとともに、バイオテクノロジーの手法によりそれらをより有効に利用するための関連学問領域について習得させる。これらの教育を通じて、農業技術者、植物種苗産業、食品産業、農薬・医薬・化粧品産業、環境保全産業、などの幅広い分野で活躍できる人材を育成する。

緑地環境科学科

生態学的に健全な都市圏や生活環境、生物多様性を支える緑地に関するさまざまな課題に対応できるよう、土地自然を構成する環境要素や人間活動との相互関係を計測・診断・評価し、健全なシステムを持続させるための制御や管理にかかわる技術や手法について教育研究する。また、都市などの人為的影響下にある自然生態系の成り立ちを解明し、健全な都市圏を支える緑の環境を保全・創成するための緑化やエコロジカルデザイン、管理にかかわる技術や手法について教育し、循環型社会の構築に貢献できる人材を育成する。

獣医学科

獣医学は動物の医療を根幹とする総合的な学問であり、高度な教育研究を通じて、動物に対する先端医療のみならず、人と動物の生命環境に関する諸問題に適宜適切に対応するための動物科学の基礎と応用の各分野における幅広い知識と技術を基に、優れた学識と高い倫理観を備えた獣医師や研究者の養成を行う。

大学院課程

応用生命科学専攻

人類が永続的に繁栄できる基盤としての健全な生命環境の形成と維持を究極の目的として、地球生命系を構成するあらゆる生物(動物、植物、微生物)が持つ多様な機能と多彩な生命現象を解明するとともに、バイオサイエンスの一層の発展とその応用技術としてのバイオテクノロジーの発展に寄与することを目的とする。博士前期課程では、応用生命科学における知識と技術を身につけ、社会の多方面で活躍できる人材を育成する。博士後期課程では、応用生命科学における高度な知識や技術を持ち、総合的な視野や洞察力、研究倫理、独創性、自立的研究能力を身につけた人材を育成する。

緑地環境科学専攻

生態学的に健全な都市圏や緑地環境の保全・創成に向けた大気、水、土、生物群などの緑地環境の計測や評価、緑地の保全や計画、デザイン、管理などの技術開発や研究領域の発展に寄与することを目的とする。博士前期課程は、緑地環境科学における知識と技術を身につけ、社会の多方面で活躍できる人材を育成する。博士後期課程は、緑地環境科学における高度な知識や技術をもち、総合的な視野や深い洞察力、独創性や自立研究能力を身につけた人材を育成する。

獣医学専攻

博士課程獣医学専攻では、幅広い視野と深い洞察力、および高い倫理観をもち、獣医学に関する学識、見識、技術を兼ね備え、かつ応用動物科学領域で専門別に細分化された知識・技術を統合し、病態動物などの診断と治療および公衆衛生分野へ貢献できる専門家、社会的要請が増加している高等動物とかかわりの深い動物バイオメディカル関連分野において、独創的指導能力を発揮できる国際的な専門家を育成する。