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基幹教育センター

基幹教育センター長からのあいさつ

現在研究の世界において専門分野は次第に細分化し、それぞれの分野における競争は先鋭化しています。とりわけ将来的に巨大な利益を生み出しうる分野では、国家プロジェクトや多国籍企業との連携において、市場化を前提とした研究が当然となりつつあり、資金はそうした分野に集中して投入されています。研究もまた時代の流れを受けその価値を変えてゆくものです。未だ宗教や思想が重要であった19世紀、20世紀初頭でしたが、戦後以降になると急速に科学技術が脚光を浴びるようになり、現在においてはコンピューターテクノロジーがその中心になりつつあります。そしてコンピューターは我々の価値観や人間関係のあり方まで変えつつあります。その変化は急速であり、我々は自分らしさに漠然とした不安を感じることも多くなりました。というのも新しいこうした技術は将来に向かっていて開かれてはいても、我々の過去との結びつきについては何も教えてくれないからです。

人間は社会生活の中でも、自然と時間的文化的連続性の中にアイデンティティを模索しながら生きているので、こうした大きな変化は自分を見失うことにもなりかねません。普段我々が歴史的な意識をそれほど感じないにしても、そしてたとえ我々が地域的に生きているにしても、その歴史全体は我々の共通のものであり、我々は第三者ではなくその当事者なのです。そして恐らく大学のみがそうした多様な過去の遺産を受け継ぎ、若い世代にそれを体系的に伝える使命を持った唯一の場所であるといえるのではないでしょうか。

高等教育推進機構 基幹教育センターでは、こうした認識に基づいて、理系や文系といった分野を超えて、これまでに生み出された普遍的で多様な知識を学び、多元的な見方を実践してゆくことができるように様々な科目を提供しています。当機構のカリキュラムポリシーで謳われている「高い倫理観」や、「幅広い視野、適切な判断力」はそうした幅広く、深い学びによって初めて可能になるものであると思います。理系文系を学ぶそれぞれの人々が相互の知識を交換し、議論し合い、より多層的で、豊かな世界を作り上げてゆくことが可能になるような場と機会を提供することが当センターの役割であると考えています。

基幹教育センター長
杉山 雅夫