大阪府立大学

生物科学課程 教育目的、教育目標、ディプロマ・ポリシー、カリキュラム・ポリシー

教育目的

21世紀は生命科学の時代と言われ、「生物とは何か」、「生命とは何か」を明らかにするために、新たな視点からの教育・研究が求められています。生命の遺伝情報はゲノムに含まれ、遺伝子がコードするタンパク質には様々な生体機能の謎が含まれています。タンパク質の合成は精緻な分子機構により制御されていて、細胞あるいは個体レベルの様々な生理反応を演出しています。さらに個体の集合である個体群・群集は生態系の要素として、豊かな自然環境と生物の多様性を生み出しています。このような階層構造を持つ生物科学を学ぶために、ミクロからマクロなレベルの生命現象を見通せる幅広い基礎学力を身につける一方で、高度な専門知識も学び、生物科学のみならず学際領域や複合領域などの新しい分野にも進出することのできる人材の育成を目指します。

教育目標

上記を達成するための具体的な教育目標を次のように設定しています。

  1. 生物科学の階層性を認識し、ミクロからマクロにわたる次の生物科学の分野について重点的に学びます。
    (1)生体分子やその集合体の構造と機能を理解します。
    (2)細胞の構造と機能、細胞から成る組織や器官の役割、形成機構、制御機構を理解します。
    (3)個体レベルや集団レベルでの生物の行動と多様性を、生物間および環境との相互作用から理解する。
  2. 上記の生物科学を理解するために必要な、物理、化学および数学に関する基礎知識を習得します。
  3. 最先端の生物科学を理解するために、コンピュータによる情報処理能力を習得し、さらに様々な分析機器について学びます。
  4. 総合科学としての生物科学を理解するため、自然科学のみならず、人文・社会科学についても幅広い知識を修得します。
  5. 科学の共通言語である英語について、英文テキストや最新の英語論文を読む能力、研究成果を英語論文として発信する能力、英語によるコミュニケーション能力を鍛錬します。
  6. 卒業研究では、自分自身で一つの研究を行うことを体験します。その際に、研究課題の問題点を明確にし、文献探索、ディスカッションなどからその問題点の解決を目指す実験計画を自ら導きだし、得られた結果の解析・評価を行う能力を獲得します。さらに、得られた結果をまとめて、他人に解りやすく発表する能力を習得します。

ディプロマ・ポリシー

次の資質・能力を身に付けたものに対して卒業を認定し、学位を授与する。

  1. 物理、化学および数学に関する基礎知識をもとに、生物科学(生体分子の構造と機能、細胞の構造と機能、種や個体の多様性)を理解している。
  2. 様々な分析機器ならびに、コンピューターによる情報処理技術の発展に伴う、最先端の生物科学を理解している。
  3. 自然科学のみならず、人文・社会科学についても幅広い知識をもとに、多様な視点から物事を考え、生物科学の総合科学的な側面を理解している。
  4. 科学の共通言語である英語について、英文テキストや最新の英語論文を読む能力、英語によるコミュニケーション能力を身に付けている。
  5. 生物科学領域の専門的知識を修得し、自然科学を基礎とした様々な専門分野における問題解決能力、および発展させる能力を身に付けている。
  6. 研究課題の問題点を明確にし、その問題点の解決をめざす実験計画を自ら導きだす力、結果の解析・評価を行う能力、ディスカッション能力、プレゼンテーション能力を身に付けている。

カリキュラム・ポリシー

学域4年間で一応の完結性をもたせつつ大学院までを視野に入れ、生物の持つ普遍性と多様性を深く理解することを目的として、基礎的内容から専門的内容へと段階的に進行する一貫したカリキュラムを編成する。

  1. 生物科学の階層性を認識し、ミクロからマクロにわたる次の生物科学の分野について重点的に学び、深い知識を修得する。
    (ア)生体分子やその集合体の構造と機能を理解するために、生化学科目、分子生物学科目、化学系科目などを置く。
    (イ)細胞の構造と機能、細胞から成る組織や器官の役割、形成機構、制御機構を理解するために、細胞生物学科目、遺伝子工学などを置く。
    (ウ)種や個体の多様性や、環境中でのそれらの相互作用を理解するために、生態学科目などを置く。
  2. 1年次には自然科学の基礎と教養科目を学び2年次から生物科学課程に進級して最終年次までを通して、様々な階層における生物科学の知識、とりわけ、生物の普遍性と多様性を理解し、専門分野における問題解決能力、および発展させる能力を身に付けるために専門科目を置く。
  3. 生物科学の各専門分野の知識だけでなく、その理解の基礎となる自然科学一般の概念(物理、化学、数学)や、情報処理とデータの統計的処理、測定・分析手法などの方法論も併せて修得し、多様な視点から物事を考える高い素養と能力を身に付けるために共通教育科目、専門基礎科目、専門科目を適切に配置する。
  4. 議論を通して学生の理解を助け、様々な専門分野への応用、発展させる能力を養うために、実験、演習科目を数多く段階的に配置する。
  5. 英語論文を読む能力、英語によるコミュニケーション能力を身に付けるために、科学分野の英語を専門的に学ぶ科目をはじめ演習科目を配置する。
  6. 専門的な研究テーマに取り組む中で、研究目的について考え、必要な情報を集めて実験を行い、結果について考察とディスカッションを行い、まとめて発表する、という各段階を経て研究の方法論を修得するために、生物科学演習を置く。
  7. 自分自身で一つの研究を行うなかで、研究課題の問題発見、文献探索、ディスカッション、問題解決能力、主体的に実験を計画・遂行する力、結果の解析・評価を行う能力を獲得し、さらに、他人に分かりやすく発表する能力(プレゼンテーション能力)も修得するために、卒業研究を配置する。
  8. 成績評価の基準と方法については、生命環境科学域のカリキュラムポリシーで定める。